2002 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞と骨芽細胞上の破骨細胞分化因子(ODF)の抑制による新しい歯周治療の開発
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14571977
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長澤 敏行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90262203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 和行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90218298)
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Keywords | OPG / ODF / RANKL / 歯肉線維芽細胞 / IL-1 / IL-11 / PGE2 |
Research Abstract |
歯周炎における免疫機能と骨代謝の相互作用を知る目的で、歯周炎局所の歯周病原性最近の存在、破骨細胞の分化にかかわる分子の存在、またこれらの分子の発現調節機構について検討を加えてきた。前年度までの研究から、歯周炎局所においては浸潤した免疫細胞が産生するするRANKLによって歯槽骨破壊が進行する可能性があり、歯肉線維芽細胞はOPGを産生することによってその破壊を抑制している可能性が示唆された。その一方で歯肉繊維芽細胞はIL-6やIL-1を産生して破骨細胞分化を促すという報告も数多くみられるため、これらのサイトカインの産生調節機構を検討した。 その結果、歯肉線維芽細胞はIL-1刺激によってIL-6を産生するが、この産生調節にプロスタグランジンが関与していることが明らかとなった。EP1レセプターにプロスタグランジンが結合した場合にはIL-1刺激によるIL-6産生を上昇させ、EP2-4レセプターに結合した場合には抑制するという、正負の両方向に調節する機構が明らかとなった。これらのことから、歯周炎局所におけるプロスタグランジンとそのレセプターの発現の違いが病態形成に深く関与している可能性が示唆された。 また、IL-11も骨芽細胞上のRANKL発現を上昇させることによって破骨細胞形成を促進すると考えられている。歯肉線維芽細胞がIL-11を産生する可能性を調べる目的で、歯肉線維芽細胞をLPSやIL-1,TNF-aで刺激してIL-11産生を検討した。その結果、LPS刺激で歯肉線維目細胞はIL-11を産生した。IL-1刺激によってさらに多量のIL-11産生がみられた。以上のことから、歯槽骨の破壊に関わると考えられるIL-6やIL-11を歯肉線維目細胞は産生し、OPGを産生することによる破骨細胞形成抑制効果と反対の働きも合わせ持つ事が明らかとなった。
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[Publications] Mahanonda R, Sa-Ard-Ian N, Yongvanitehit K, Wisetechang M, Ishikawa I, Nagasawa T, Waish DS, Pichyangkul S: "Up-regulation of co-stimulatory molecule expression and dendrite cell marker (CD83) on B cells in periodontal disease"J Periodont Res. 37・3. 177-183 (2002)
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[Publications] Nagasawa T, Kobayashi H, Kiji M, Aramaki M, Mahanonda R, Kojima T, Murakami Y, Saito M, Morotome Y, Ishikawa I: "LPS-stimulated human gingival fibroblasts inhibit the differentiation of monocytes into osteoclasts through the production of osteoprotegerin"Clin. Exp. Immunol.. 130・2. 338-344 (2002)