2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌由来細胞死誘導因子の単離・抗体作製及びその臨床応用
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14571978
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荒川 真一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (20302888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 烈 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10014151)
土田 信夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60089951)
中島 琢磨 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90256678)
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Keywords | 細胞死誘導因子(殺細胞因子:CCT) / 歯周病原性細菌 / Tannerella forsythensis / G2 arrest / 歯周炎 / アポトーシス / 細胞周期 / CDT(cytolethal distending toxin) |
Research Abstract |
1.クロマトグラフィーによる精製 (1)Tannerella forsythenisis (Bacteroides forsythus)の超音波抽出物をDEAE Sepharoseカラムを用いて精製した結果、F1,F2の2つの致死細胞活性分画を得た。(2)ゲルろ過により精製を行ったところ、28kDa,400kDa超の2分画に活性が認められた。A_<245>、A_<280>の比較から、本因子は、細菌のDNAと相互作用すると予想され、DNaseIと作用させたところ、28kDaに収斂し活性が認められた。よって、当該毒素は、DNA結合性のタンパク質であることが強く示唆された為、さらにヘパリンカラムを用いて精製を行なったところ、強い活性を示す分画(HepBF)を得た。(3)本精製タンパクのSDS-PAGE後鍍銀染色を行い、また我々の作製した坑致死細胞因子抗体を用いてImmunoblotを行ったところ、それぞれにおいて57,55,28.5kDaの3本のバンドを得た。 2.クローニングおよびシークエンス解析 (1)ZAP Express vector(phage vector)を用いて遺伝子バンクを作製後、精製物のN末端のアミノ酸配列より得た、degenerate oligonucleotide probesを用いてクローニングを行い、さらに本クローンの塩基配列の決定を行った。その結果、本遺伝子は、536個のアミノ酸からなる分子量約59.5kDaのタンパクをコードすることが示唆された。(2)PSI Blastによるhomology searchを行った結果、本遺伝子によりコードされるタンパク質はP1 nucleaseとhomologyのある立体構造を保有することが明らかになった。また、プローブとして用いたN末部分は、本遺伝子の269.280アミノ酸残基の領域に存在する事が判明した。 3.フローサイトメトリーによる解析 (1)MA-1細胞に精製因子(HepBF)を作用させ、P53,Cyclin B1に対する抗体にて染色後、フローサイトメトリーにて分析した。(2)その結果、殺細胞因子を作用させた細胞は、G2 arrestを起こし、かつ同時期において高レベルのp53,Cyclin B1の発現が認められた。(3)以上の結果から、機序としてはChk2を介したCdc25の不活性化による細胞周期の停止が考えられる。 以上の結果より、本毒素は、CDT(Cytolethal Distending Toxin)の新メンバーであることが示唆された。また、精製タンパク質のN末端部分がクローンの中間部分に位置していたことから、現在致死細胞因子をコードする最小の遺伝子を解明中であり、その結果を利用し、臨床材料(歯肉縁下プラーク、歯肉溝滲出液、唾液など)に対してPCRを行い当該因子と歯周炎の発症、進行との関連を解明する計画である。
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Research Products
(2 results)