2003 Fiscal Year Annual Research Report
口臭原因物質メチルメルカプタンの歯周病増悪因子としての新たな解析
Project/Area Number |
14571985
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
瀬戸口 尚志 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60206646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 松男 鹿児島大学, 生命科学資源開発研究センター, 助教授 (50332896)
町頭 三保 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80253897)
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Keywords | 口臭 / メチルメルカプタン / 歯周病 / 細胞培養 / サイトカイン / LPS / 国際情報交換 / カナダ |
Research Abstract |
本年度の研究実績 口臭の主要な原因物質であるメチルメルカプタンは,歯周ポケット中で産生され,歯周病罹患部位での歯周組織破壊に関与する可能性が示唆されているが,詳細は不明である。我々は,これまで,メチルメルカプタンが上皮細胞に対し細胞障害性を有すること,また単球系細胞に対しても上皮系細胞に対してと同様に細胞増殖抑制作用および細胞障害性を有することを明らかとした。さらに,これがアポトーシスによるものかネクローシスによるものかを検討した結果,主にネクローシスによることがわかった。今回,我々は,単球系細胞株であるHL-60(前骨髄性白血病細胞株)とU-937(単球芽球様細胞株)のサイトカイン産生能に及ぼすに対するメチルメルカプタンの作用を検討した。 すなわち,HL-60とU-937をPMAで刺激しマクロファージ様細胞へ分化させ,P.gingivalis由来のLPS存在下あるいは非存在下でメチルメルカプタンがIL-1β,IL-6,TNF-αの産生に及ぼす影響を検討した。その結果,IL-1βの産生についてはメチルメルカプタンの有無で顕著な差はみられなかったが,U937細胞では,LPS存在下においてメチルメルカプタンを作用させることで,IL-6,TNF-αの有意な産生増加が認められた。また,HL-60細胞ではLPS存在下で,メチルメルカプタンを作用させることで,TNF-α産生の有意な増加がみられたがIL-6については,HL60での産生はほとんど無かった。このことより,メチルメルカプタンは,免疫系細胞による炎症性サイトカイン産生を増強することが示され,歯周病の発症や進行に関与する可能性が示された。 今後さらに,メチルメルカプタンの歯周病増悪因子としての作用を詳細に検討していくことが必要である。
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