2002 Fiscal Year Annual Research Report
不活性オレフィンの環境調和型活性化反応の開発と天然物合成への展開
Project/Area Number |
14571994
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 真弘 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10217573)
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Keywords | シリルエノラート / 双環性化合物 / ビシクロ[3.3.0]オクタン骨格 / ビシクロ[4.3.0.]ノナン骨格 / 触媒的環化アルケニル化反応 / sp^2炭素同士のカップリング反応 / Heck反応 / 中性条件 |
Research Abstract |
末端オレフィンを有するアルキル側鎖を持つ環状シリルエノラートから,触媒反応条件下で双環性化合物をワンポットで構築する新たな合成手法の開発に着手した.標的分子として,生理活性天然物の部分構造であるビシクロ[3.3.0]オクタン(オクタヒドロペンタレン)骨格とビシクロ[4.3.0]ノナン(ヒドリンダン)骨格に着目した.前者は,セスキテルペンの部分構造を成し,後者はステロイドやビタビンDの骨格の一部である.その結果,β位に置換基を持つシクロ-2-ペンテン-1-オンにGrignard試薬を1,4-付加させてin situにシリル化することにより生成するシリルエノラートを,触媒量の酢酸パラジウムで処理することによりビシクロ[3.3.0]オクタン骨格が中程度の収率で得られることが明らかとなった.同様の方法論をシクロ-2-ヘキセン-1-オンに適用したところ,好収率で目的とするビシクロ[4.3.0]ノナン骨格が得られてくることを見出した.さらに本触媒的環化アルケニル化反応の汎用性の拡大を目指し,sp^2炭素同士のカップリング反応に適用した.その結果,シリルエノラートのsp^2炭素と芳香環のsp^2炭素が,緩和な反応条件下でカップリングすることが明らかとなった.これまでsp^2炭素同士のカップリング反応として、Heck反応などが知られている.基本的にHeck反応の使用は,ハロゲン化ビニルや芳香族ハロゲン化物と不飽和化合物とのカップリングに限られている.一方,著者が開発したシリルエノラートのsp^2炭素と芳香環のsp^2炭素とのカップリング反応は前例のない新しいタイプの反応であり,さらに中性条件下で容易に反応が進行することから,本反応のさらなる展開が期待される.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Toyota: "A Diastereoselective Formal Total Synthesis of the DNA Polymerase α Inhibitor, Aphidicolin, by Using Palladiun-Catalyzed Cycloalkenylation and Intramolecular Diels-Alder Reactions"Organic Letters. 5(in press). (2003)
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[Publications] M.Toyota: "Simple Construction of Bicyclo[3.3.0]octane, Bicyclo[4.3.0]nonane, and Its Benzo Derivative by Palladium-Catalyzed Cycloalkenylation"Organic Letters. 4. 4293-4296 (2002)
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[Publications] M.Toyota: "Some Aspects of Palladium-Catalyzed Cycloalkenylation : Developments of Environmentally Benign Catalytic Conditions and Demonstration of Tandem Cycloalkenylation"J. Org. Chem.. 67. 3374-3386 (2002)