2003 Fiscal Year Annual Research Report
フェノールフタレイン誘導体を用いた分子情報の可視化
Project/Area Number |
14572003
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
椿 一典 京都大学, 化学研究所, 助手 (50303897)
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Keywords | 超分子化学 / フェノールフタレイン / 水素結合 / 分子認識 / 可視化 / ホスト-ゲスト化学 / 呈色認識 |
Research Abstract |
研究代表者はpH指示薬として広く利用されているフェノールフタレインを母核としクラウンエーテル構造を合わせ持つ化合物をホスト分子として合成し、ゲスト分子の様々な特徴をプロティックな溶媒中において読み取り、呈色化・可視化することを目的に研究を進めている。今回の科学研究費の交付期間内においては(1)不斉呈色認識、(2)温度変化に伴うアルカリ金属とホスト化合物の呈色挙動の二点について成果を挙げることができた。 1-1)アラニン誘導体の不斉呈色識別(詳細は論文を参照されたい) 1-2)β-アミノアルコール類の不斉呈色識別:研究当初はホスト化合物はある特定の長さを持つジアミン骨格が呈色には必須であると考えていたが、高濃度のβ-アミノアルコール類でも呈色することが判った。そこで、クラウンエーテル環上にフェニル基を導入したホスト化合物を新たに合成し、β-アミノアルコール類の不斉呈色について検討した。その結果ゲスト分子の不斉を認識し一方のみに強く呈色する機能を持つことが判った。またこの呈色の強弱は温度に敏感であり、低温にするほど、ゲスト分子の不斉を大きく呈色の差に反映できる事もわかった。 2)ホスト分子はpH指示薬であるフェノールフタレインを母核として持つため、NaOH,KOHで紫に呈色するのは当然である。しかしその溶液の温度を変化させると、全く逆の挙動を示すことがわかった。すなわち低温にするにつれて、ナトリウムでは色が濃くなり、カリウムでは色が薄くなるということが判った。生体ではナトリウムとカリウムは逆の役割を担っているが、人工のホスト分子で逆の挙動を示す最初の例である。なぜ、そのように逆の呈色挙動を示すのかという、根本の説明は現在のところ着いておらず今後の検討課題である。 なお1-2)については投稿中であり、2)については投稿準備中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Tsubaki, T.Kusumoto, N.Hayashi, M.Nuruzzaman, K.Fuji: "Sequence-Selective Visual Recognition of Nonprotected Dipeptides"Organic Letters. 4. 2313-2316 (2002)