2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14572011
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
樹林 千尋 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80057330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 秀樹 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (00328551)
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | Incarvillateine / Incarvine C / Monoterpene Alkaloid / Antinociceptive Activity / Total Syntheis / Three-Component Coupling / Intramolecular Heck Reaction |
Research Abstract |
世界保健機構がWHO方式癌疼痛治療方針を発表して以来、癌治療におけるモルヒネの消費は世界的に増大しているが、モルヒネには連用による耐性や依存を生じる深刻な欠点があり、モルヒネに代わる強力な非麻薬性鎮痛薬の開発が世界的に求められている。インカビラテインは最近ノウゼンカツラ科植物角嵩Incarvillea sinensisより発見された新奇モノテルペンアルカロイドである。本アルカロイドはモルヒネに匹敵する強力な鎮痛作用を示すことが見出され、その作用はオピオイド受容体よりもアデノシン受容体の関与が大きいことが示唆されていることから、非麻薬性鎮痛薬のリード化合物として期待される。本研究は、このような特異な化学構造と顕著な薬理活性を有するインカビラテインの不斉全合成を目的とし、さらに、アデノシン受容体アゴニスト性の解明及びアナログ合成・活性評価へと展開し非オピオイド性鎮痛薬創製を目指す。 角嵩抽出物中にインカビラテインと共にその生合成前駆体と考えられるインカビンCが共存し、インカビンCの[2+2]環化二量化体はインカビラテインに相当することから、平成14年度においてはインカビンCのラセミ合成経路を確立することを計画した。初めに2-メチルフランより導いた4-シロキシ-2-ペンテノンに有機亜鉛化合物を用いる3成分連結法を適用し、単一操作により2,2,4-シクロペンテノンを合成し、次いで、オゾン酸化、ヒドリド還元を経て生成するアルコール体をN-Boc-トシルアミドに導き、β脱離によりヨードアリル体とした。これをギ酸の存在下還元的Heck反応による分子内閉環を行ってオクタヒドロシクロペンタピリジンとし、脱保護の後二級アルコールと不飽和カルボン酸との光延反応によりラセミインカビンCの合成を達成した。
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