2002 Fiscal Year Annual Research Report
炭素鎖共役型三置換アルケンの新規立体制御法の開発と生理活性ポリエンの合成研究
Project/Area Number |
14572020
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50167285)
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Keywords | 共役アルケン / クロスカップリング反応 / パラジウム触媒 / エンイン / 立体制御 / 三置換アルケン |
Research Abstract |
本研究の目的は、1,1-ジブロモ-1-アルケンに対しゼロ価Pdを用いる立体選択的なクロスカップリング反応により一旦トランス側に選択的に置換基を導入し、その後段階的に二つ目のクロスカップリングを行い、三置換アルケンの立体化学を合成的に制御することが目的である。 平成14年度の本研究において以下のような新しい成果を得ることが出来た。 (1)1,1-ジブロモ-1-アルケンを出発原料に園頭反応によりアルキニル基を、鈴木反応によりアルケニルおよびアリール基を、熊田・玉尾・Corriu反応によりトリメチルシリルメチル基を選択的に導入することが出来た。これによって三置換E-ブロモアルケン誘導体の立体制御を達成することが出来た。 (2)二度目のカップリング反応において、アルケニルホウ酸やアリールホウ酸を用いる鈴木反応では立体化学が保持された三置換アルケンを導くことができたが、アルキンを用いる園頭反応では溶媒により立体保持および反転で進行することが明らかになった。そしてこの立体反転の反応がクムレニル中問体を経由しているであろう事を証明した。 (2)異なったアルキニル基が二つ置換したアルケンにおいて幾何異性体の立体化学は、nOeによる位置の決定が不可能なため困難であった。トリメチルシリルアルキニル基がジイミドにより選択的にアルカンまで還元されることを見出し、この種のエンジインの構造決定に新しい手段を開発することが出来た。この手法はnOeによる位置決定が出来なかったアルキンの置換体の構造決定にも今後利用可能である。
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[Publications] J.Uenishi, K.Matsui, A.Wada: "Trienylboronic acid, a versatile coupling tool for retinoid synthesis ; Stereospecific synthesis of 13-aryl substituted (11Z)-retinal"Tetrahedron Lett.. 44・15. 3093-3096 (2003)