2003 Fiscal Year Annual Research Report
炭素鎖共役型三置換アルケンの新規立体制御法の開発と生理活性ポリエンの合成研究
Project/Area Number |
14572020
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50167285)
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Keywords | ジエン合成 / クロスカプリング / 立体制御 / 11Z-レチナール / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
平成15年度の本研究では、ジブロモアルケンからPdを用いるクロスカップリング反応を駆使して、ブロモエンイン化合物を経る置換ヨードジエン合成における立体制御を試み、これを用いてこれまで十分な合成法が無かったレチノイドの13位置換各誘導体の立体特異的合成を試みた。そして、以下の結果を得ることが出来た。 (i)三置換E-及びZ-エンイン誘導体の立体化学を制御した合成を達成し、これを立体選択的に変換して4種類すべてのE,E-、E,Z-、Z,E-及びZ,Z-ヨードジエンを選択的に作りわける方法を確立した。 (ii)その過程で、ブロモエンインのクロスカップリングにおいて、立体反転が起きる異常反応を見出すことが出来た。 (iii)レチノイドに共通するC1-10位までの炭素鎖ユニットとしてトリエニルホウ酸を合成し、これと上記ヨードジエンを鈴木カップリングさせることで、レチノールの11位および13位における4種の立体異性体すべてを、立体化学を制御して作りだすことが出来た。 (iv)13位にフェニル基を有する11Z-レチナールを初めて合成することが出来た。これらはオプシンのリガンドとしての親和性の低いことが判明し、オプシンに取込まれた11Z-レチナールの13位周辺は堅い構造を保っていると想像された。
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[Publications] J.Uenishi, K.Matsui, A.Wada: "Trienylboronic acid, a versatile coupling tool for retinoid synthesis ; stereospecific synthesis of 13-aryl substituted (11Z)-retinal"Tetrahedron Lett.. 44・15. 3093-3096 (2003)