2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子の動的構造のX線結晶学的解明と医療を指向した機能との相関研究
Project/Area Number |
14572035
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
藤井 敏 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10107104)
|
Keywords | X線構造解析 / ドラッグデザイン / インフルエンザ / モルテングロービル / フォルデング |
Research Abstract |
立体構造に新視点が求められている。機能の時間軸に即した大きな構造変化も含めた動的構造の機能との連関である。この構造変化はキーとなる中間構造を経由するモデルが有力である。タンパク質構造形成中間体モルテングローブのメタ状態がその1つである。このメタ中間体のX線構造解析法に,新規な結晶化法を取り入れた展開をしている。(1)脂質水系マトリックス場の結晶化:高濃度脂質の3次元結晶相(立方相)では、水相および脂質が共在するマトリックスを持っている。このマトリックスを温和な条件で作成,分取する方法を考案した。マイクロシリンジ内で所定量の脂質と水を混合してマトリックスを作成し,市販の固定量分注器具にて各種結晶化条件溶液に0.1-0.3μLを効率よく分注,混和し,静置させる.これには既存の結晶化容器が援用できる.リゾチーム,α-ラクトアルブミンを中心に結晶化を行った.(2)α-ラクトアルブミンはトリフルホロエタノールによって、モルテングローブ形成が明らかになっている。この試薬存在下で結晶化スクリーンキットを用いて、系統的、網羅的な結晶化条件の検討を行った.動的散乱法による分子集合の大きさの分布を確認することで、2,3の条件より結晶が得られた.このX線構造解析を実施した.(3)ヒトインフルエンザウィルスの薬物ターゲットタンパク質ヘマグルチニン(HA)は膜表面にある.X線構造解析のための大量調製を実施した.ブロメライン処理より得られたHAの可溶性部分を、ショ糖密度勾配遠心により,1.44mg,1mlのタンパク溶液を得た.現在得られている結晶は双晶で、高分解能のX線結晶解析には不適であり、助剤を加えるなどの結晶化の最適化を実施している。沈殿剤として30%iso-propanolの系で大きさ0.5mmの結晶が得られており,この結晶による,回折データの収集を計画している.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Y.Yamagata, T.Nakamura, S.Fujii, M.Sekiguchi: "The crystal structures of E.coli Mut T proteins with and without manganese ions"Acta Cryst.. A58. C116-C116 (2002)
-
[Publications] Satoshi Fujii: "RNA motif database catalogued by kink parameters"Nucleic Acids Research Supplement. 2. 197-198 (2002)