2004 Fiscal Year Annual Research Report
自殺遺伝子治療用遺伝子導入リポソームベクターの開発
Project/Area Number |
14572040
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
米谷 芳枝 星薬科大学, 医薬品化学研究所, 教授 (10231581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 京子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60110623)
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Keywords | 遺伝子治療 / リポソーム / リポソームベクター / 自殺遺伝子 / プラスミドDNA / ガンシクロビル / トランスフェクション / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
癌細胞を選択的に効率よく死滅させる効果的な自殺遺伝子(HSV-TK)治療用遺伝子導入リポソームベクターの開発を目的として、前年度は(1)従来の方法であるリポソームとDNAを混合して複合体にする場合と、(2)DNA封入リポソームにする場合の2種類の調製法におけるリポソームの処方を、ルシフェラーゼ遺伝子の培養細胞での発現を測定することにより、評価し最適化した。その結果、組成は、カチオン性脂質としてDC-Chol、中性脂質としてDOPE、糖脂質としてステロールグルコシドと糖型バイオサーファクタントに決定した。(2)のDNAのリポソームへの封入方法については、凍結乾燥・再水和法を用いて、ショ糖の添加量を全脂質量に対して同量にすると、0.4μmのサイズでDNAの封入率が60%以上のリポソーム製剤が調製できた。また、リポソームの正荷電(+)とDNAの負荷電(-)の比は、(+)/(-)電荷比が3のときに、血清存在下でも高い発現が得られることも確認した。 さらに、癌細胞に選択的に遺伝子を発現させるためにプラスミドDNAのプロモーターにミッドカインを用いた。糖脂質を各々含んだ3種類のリポソームを調製し、プラスミドDNAとの複合体または、封入リポソームを用いて、HSV-TK遺伝子の発現を培養細胞で検討した結果、リポソームとプラスミドDNAとの複合体ベクターのほうが遺伝子封入リポソームより発現が高くなった。次ぎに、担癌マウスの腫瘍部位に遺伝子を導入して、自殺遺伝子治療を行った結果、ステロールグルコシドを含有したリポソームのプラスミドDNAとの複合体が最も腫瘍を縮小させた。以上の結果、ステロールグルコシドを含有したリポソームベクターが高い遺伝子発現することが推察され、このリポソームベクターの遺伝子治療への有用性を明らかにした。
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