2003 Fiscal Year Annual Research Report
ESRによる過酸化水素のin vivo定量法の開発
Project/Area Number |
14572044
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
上田 順市 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター・レドックス制御研究グループ, チームリーダー (90160168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 啓蔵 放射線医学総合研究所, 放射線安全研究センター・レドックス制御研究グループ, 主任研究員 (70175438)
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Keywords | 過酸化水素 / フリーラジカル / in vivo ESR / in vitro ESR / サーフェイスコイル型共振器 |
Research Abstract |
過酸化水素(H_2O_2)は、細胞傷害性の高いヒドロキシルラジカル(・OH)の生成原料であり、また、細胞内のシグナルトランスダクションに関与するなど、多くの疾病のメカニズムにおいて極めて重要な物質と考えられる。しかし、H_2O_2は他の生理活性物質のように生体から抽出して測定できるほど安定とは言えない。本研究では生体内のH_2O_2の定量を目的として磁気共鳴法を応用した非侵襲的な新しいH_2O_2の定量法を開発することを目的に実験を行い、以下の結果を得た。 (1)ABTSとペルオキシダーゼ(HRP)を包含するリポソーム("ABTS-HRP-リポソーム")の作製 初めに、ABTSカチオンラジカルの生成量が最大となる[ABTS]:[HRP]の比を求めた。その濃度比で種々の濃度のH_2O_2を混合して得られるABTSカチオンラジカルのシグナルをESR装置を用いて測定し、H_2O_2の濃厚に対してESRシグナル強度をプロットして検量線を作成した。次に、ABTSとHRPを包含したコレステロール-ジミリストイルレシチン-ステアリルアミン(1:1:0.1)のリポソームを調製した。 (2)マウス体内における過酸化水素の定量 生体内で予想される過酸化水素発生系で本方法を用いて過酸化水素を定量できるか否かを調べた。 ○マウスにLPS又はZymosanを投与して好中球を遊走させた後に、PMA、SOD、アスコルビン酸オキシダーゼ含有の"ABTS-HRP"液を腹腔内投与してマウス体内にABTSカチオンラジカルを生成させ、これをサーフェイスコイル型共振器を用いたL-バンド電子スピン共鳴措置により測定を試みたが、シグナルを検出すること特出来なかった。 ○in vitroで種々の濃度のABTSカチオンラジカル(種々の濃度の過酸化水素をABTS-HRP液を混ぜることにより調製したもの)をマウス体内に投与して、上記の方法でシグナル強度を測定し、測定方法での検出限界濃度を求めた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Keita Saito: "Two reaction sites of spin label, TEMPOL (4-hydroxy-2.2.6.6-tetramethylpiperidine-N-oxyl). with hydroxyl radical"J.Pharm.Sci.. 92. 1-6 (2003)
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[Publications] Jun-ichi Ueda: "Singlet oxygen-mediated hydroxyl radical production in the presence of phenol : Whether DMPO-OH formation really indicates production of OH?"Photochem.Photobiol.. 77. 165-170 (2003)
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[Publications] Jun-ichi Ueda: "Reactive oxygen species scavenging ability of a new compound derived from weathered coal"Spectrochimica Acta Part A. In press. (2004)