2003 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミン輸送系とNMDA受容体に対するポリアミンの役割に関する研究
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14572052
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柏木 敬子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (80169424)
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Keywords | ポリアミン / プトレスシン / スペルミン / トランスポーター / アンチポーター / プロトン駆動力 / NMDA受容体 / カダベリン |
Research Abstract |
1.神経可塑性に中心的な役割を果たすグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体活性を、ポリアミンが脱分極時に促進することが明らかとなったので、ポリアミンが脳中をどのように循環しているかを検討した。ポリアミンの取り込みは、シナプス小胞、シナプトソーム、グリア細胞で認められ、スペルミンがシナプス小胞に蓄積することが明らかとなった。また、脱分極時に海馬のスライスよりポリアミンが遊離することを明らかにした。以上の結果より、ポリアミンが脳でニューロモジュレーターとして機能していることが示唆された。 2.NMDA受容体上のプロトンセンサーを同定した。プロトンセンサーを構成する多くのアミノ酸残基はN末端領域の調節領域と第3膜貫通部位に存在し、ポリアミンによるNMDA受容体活性調節にも関与する残基であることを見出した。 3.CadB(リジン/カダベリンアンチポーター)蛋白質の性質と、CadBとCadA(リジン脱炭酸酵素)をコードするcadBAオペロンの役割を検討した。中性条件ではCadBはエネルギー依存的にカダベリンを取り込み、酸性ではリジン/カダベリンアンチポーター活性により、カダベリンを排出することを見出した。また、cadBAオペロンの発現が酸性条件下の細菌の生育に重要であることを明らかにした。この両蛋白質の発現により、大腸菌の外側の環境を中性化し、かつプロトン駆動力を作ることが明らかとなった。 4.酵母GABA輸送体UGA4がポリアミンの一種であるプトレスシン輸送活性を有し、液胞膜上に存在すること、及び、UGA4の発現によりオルニチン脱炭酸酵素欠損株のプトレスシンによる増殖促進効果が上昇することを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masuko, T.et al.: "Polyamine transport, accumulation, and release in brain"J.Neurochem.. 84. 610-617 (2003)
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[Publications] Williams, K.et al.: "Pharmacology of δ2 glutamate receptors : Effect of pentamidine and protons"J.Pharmacol.Exp.Ther.. 305. 740-748 (2003)
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[Publications] Sakata, K.et al.: "Acrolein produced from polyamines as one of the uremic toxins"Biochem.Soc.Trans.. 31. 371-374 (2003)
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[Publications] Sakata, K.et al.: "Increase in putrescine, amine oxidase, and acrolein in plasma of renal failure patients"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 305. 143-149 (2003)
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[Publications] Low, C.-H.et al.: "Molecular determinants of proton-sensitive N-methyl-D-aspartate receptor gating"Mol.Pharmacol.. 63. 1212-1222 (2003)
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[Publications] Soksawatmaekhin, W.et al.: "Excretion and uptake of cadaverine by CadB and its physiological functions in Escherichia coli"Mol.Microbiol.. 51. 1401-1412 (2004)