2004 Fiscal Year Annual Research Report
核内レセプターの活性化制御による血管壁での抗血栓性作用の獲得
Project/Area Number |
14572067
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
堀江 修一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (60157063)
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Keywords | トロンボモジュリン / 組織因子 / 血管内皮細胞 / 抗血栓性作用 / 核内レセプター / レチノイン酸 / AP-1 / SP1 |
Research Abstract |
平成16年度の研究実施計画に準じて実験を行った結果,以下の成果を得た。 1.トロンボモジュリン(TM)のレポータープラスミドを用いた転写調節領域の解析 ヒト微小血管内皮細胞(HMEC-1)にTM遺伝子上流配列を含むルシフェラーゼレポータープラスミドをトランスフェクションし,ピタバスタチン処理後の転写活性を調べた結果,大きく影響する領域は存在せず,上流-1568bpまでに特定タンパク質が強く相互作用する配列や,阻害タンパク質との相互作用が顕著に減少する配列は存在しないと考えられた。 2.因子(TF)のレポータープラスミドを用いた転写活性化に対するPPAR-αの影響 ヒト微小血管内皮細胞(HMEC-1)にTF遺伝子上流のAP-1配列を含むレポータープラスミドをトランスフェクションし,PPAR-αのリガンド処理後のTNF-α依存性の転写活性を調べた結果,AP-1配列に依存したTF転写活性の低下が認められ,それはRAR存在下にさらに強く抑制されるが,RXR存在下では逆に効果がなくなることが判った。 3.レチノイン酸によるTM転写促進作用とTF転写抑制作用に対する脂質低下薬の効果 レチノイン酸処理後のHMEC-1におけるTM転写活性は,ピタバスタチンの処理により相加的に増加したが,PPAR-αのリガンドでは影響がなかった。また,TF転写活性では,ピタバスタチンの影響はなく,PPAR-αのリガンドで減少した。これらの変化はタンパク質レベルとゲルシフト法による核内タンパク質の相互作用の有無によって説明できた。 以上により,脂質低下薬やある種のリガンドを用いることで核内レセプターの活性化を制御し,TMやTF活性を介した血管壁における抗血栓性作用の調節が可能であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)