2002 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化巣を認識するモノクロナル抗体を用いた動脈硬化形成機構の解析
Project/Area Number |
14572068
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
森 雅博 帝京大学, 薬学部, 助手 (00230079)
|
Keywords | 動脈硬化 / 泡沫細胞 / マクロファージ / Cholesterol / Phosphatidylcholine / 変性LDL / モノクロナル抗体 / 非浸襲的診断 |
Research Abstract |
動脈硬化の低侵襲的診断、治療への適用を意図して、ヒト動脈硬化粥腫を免疫原とし、in vivoで動脈硬化病巣表層部を結合するモノクロナル抗体(ASH1a/256C)を調製した。この抗体の抗原は、Phosphatidylcholine(PC)-Cholesterol Complexであり、WHHLウサギ動脈硬化巣では、腹部から大動脈弓部にかけてCholesterolの蓄積(動脈硬化の進展)と共に抗原量は増加している。そこで、本抗原がどのようにして形成されるのか解析するために、マウスJ774細胞をWHHLウサギ血清で泡沫化させ、本抗原を誘導することに成功した。本抗原は、培養1日目(泡沫化直後)では、発現しないが、培養4日目には、細胞のPeripheralな領域に脂質粒として認められる。【本年度の成果】この泡沫細胞の培養経過で、一度増加したCE(Cholesteryl ester)が4日目に減少し、FC(Free cholesterol)が増加していること、細胞内に出現するFilipinで染色される顆粒をASH1a/256Cが認識していることが明らかになった。これより、FC-richな脂質粒は、PC-Cholesterol Complexの1つであることが示された。培養7日目以降、FC-rich脂質粒を持つ泡沫細胞は、rupture(崩壊)して脂質粒を放出するのが観察される。このようなruptureは、FC-richな脂質粒形成がみられるWHHL血清や、ヒト高脂血症患者血清、Acetyl LDLを取り込ませた場合にのみ観察され、VLDLや、健常人血清を取り込ませた場合には観察されず、FC-rich脂質粒の形成と泡沫細胞のruptureに相関がみられた。さらに、この脂質粒の形成と泡沫細胞の崩壊の関連性を明らかにするために、細胞内Cholesterol輸送との関連を調べた。PCを全く含まないCholesteryl Oleateの液晶を細胞に取り込ませても、培養4日目で同じようにFC-rich脂質粒の形成がみられた。また、U18666Aを用いて、細胞内のCholesterol輸送系を止めると、FC-rich脂質粒の形成、泡沫細胞のruptureが抑制されたことから、CEの水解と細胞内のcholesterol輸送は、FC-rich脂質粒の形成並びに泡沫細胞の崩壊に関与していることが明らかになった。次年度は、この輸送系の直接の関与酵素の同定と、泡沫細胞の崩壊機構についてさらに解析を進めたい。
|
-
[Publications] Higashi, Y., Itabe, H., Fukase, H., Mori, M., Fujimoto, Y., Sato, R., Imanaka, T, Takano, T.: "Distribution of microsomal triglyceride transfer protein within sub-endoplasmic reticulum regions in human hepatoma cells"Biochemica et Biophysica Acta. 1581. 127-136 (2002)