2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化タンパク質加水分解酵素の細胞内機能と動態の解析
Project/Area Number |
14572070
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
菊川 清見 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90120146)
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Keywords | 酸化タンパク質 / 酸化タンパク質分解酵素 / OPH / 酸化ストレス |
Research Abstract |
生体には一次抗酸化システムとしての抗酸化酵素系、抗酸化物質の存在が明らかにされており、傷害分子を排除あるいは修復する酵素としていわゆる二次抗酸化システム、すなわち酸化タンパク質分解酵素系、酸化リン脂質分解酵素系、酸化DNAの修復酵素系の存在が示唆されている。これまでの研究において、ユビキチン-プロテアソーム系とは別に新しい酸化タンパク質を分解する酵素を見い出し、oxidized protein hydrolase (OPH)と名付けた。種々の細胞に広く分布していることが示唆されている。本研究の目的は、OPHの酸素ストレスに対する二次防御システムとしての意義を確立することにある。 本年度は、培養細胞cos 7を用いてOPHを過剰に発現したcos 7-OPHを樹立し、両者を比較することによって、OPHの二次防御システムとしての意義を探った。Cos 7とcos 7-OPHに過酸化水素とパラコートを添加して酸素ストレスを誘導した。Cos 7ではTCA不溶性タンパク質のカルボニル含量が酸化ストレス依存的に上昇し、それに伴って細胞の生存率が低下した。それに対して、cos 7-OPHではカルボニル含量の酸化ストレス依存的上昇が少なく、また細胞の生存率の低下も少なかった。このことは、cos 7-OPHの方がcos 7に比べて、酸化ストレスによる酸化タンパク質の蓄積が少なく、酸化ストレスに対して抵抗力が高いことを示している。cos 7-OPH細胞中のOPHの局在性を蛍光標識法によって検討したところ、核や膜に局在することなく、また過酸化水素による酸化ストレス存在下でも変化はなく、OPHは細胞質に一様に存在する酵素であった。これらのことから、OPHは酸化ストレスによる酸化タンパク質の蓄積を防ぎ、細胞を保護する役割をもっていることが分かった。
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