2004 Fiscal Year Annual Research Report
4-ヒドロキシノネナールエナンチオマーの細胞毒性と解毒代謝における立体選択性
Project/Area Number |
14572071
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平塚 明 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20165179)
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Keywords | ヒト / 肝 / 4-ヒドロキシノネナール / エナンチオマー / 立体選択性 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / グルタチオン抱合 / 還元反応 |
Research Abstract |
生体膜脂質過酸化反応の二次分解産物としてラセミ体として生成する4-hydroxy-2(E)-nonenal (4-HNE)は、アテローム性動脈硬化、アルツハイマー病、ならびにパーキンソン病患者の病態組織中よりHNE-蛋白質付加体とともに高濃度に検出され、4-HNE生成とこれら疾病との因果関係が最近注目されている。 本年度は当初の研究計画に従い、4-HNEのヒト肝組織における解毒代謝とその立体選択性について検討し、下記の1)-3)の研究成果を挙げることができた。 1)日本人女性5名、男性3名、白人女性3名のそれぞれ11名の肝組織より調製した可溶性画分における4-HNEの主解毒代謝反応はGSH抱合であり、また同反応の動力学的解析(Vmax/Km)からその立体選択性が(S)>(R)((S)/(R)=1.7〜3.1)であることが明らかとなった。また同反応がヒトGSTA4-4抗体によって完全に阻害されたことより、ヒト肝の4-HNEのGSH抱合がhGSTA4-4により触媒されることが明らかとなった。 2)hGSTA4-4のX線構造解析より解明された基質結合ドメイン中のArg-15をLysに置換した部位変異体を調製し、4-HNEエナンチオマーのGSH抱合反応の立体選択性を検討したところ、4(R)-HNEのKm値(野生型の約1.2倍)に比べ4(S)-HNEのそれが顕著に上昇(野生型の約13倍)したことから、同酵素の4(S)-選択性は、このArg-15のアミノイミノ基と4(S)-HNEの4位水酸基の相互作用に起因することが強く示唆された。 3)上記肝可溶性画分における4-HNEエナンチオマーのNADH依存的な還元反応は、日本人で(S)>(R)の選択性が認められたが白人では認められず、また同反応の動力学的解析により白人のVmax/Kmは、日本人のそれの1/4-1/5と顕著に低いことが分かった。
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Research Products
(1 results)