2002 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κBのシグナル伝達における活性酸素の役割の再検証
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14572073
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
早川 磨紀男 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30198824)
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Keywords | NF-κB / IκB / 活性酸素 / アンチオキシダント / Rac / NADPHオキシダーゼ / NAC / PDTC |
Research Abstract |
従来よりNF-κB活性化経路を阻害する働きが知られているN-acetylcysteine(NAC)とpyrrolidine dithiocarbamate (PDTC)それぞれの阻害機構を検討したところ、NACはTNF刺激によるNF-κB及びp38、JNK、ERKの3種のMAP kinaseの活性化を全て阻害したが、TPA、IL-1によるこれらの情報伝達系の活性化には全く影響しなかった。そこで、TNF受容体へのTRAF2、RIPのrecruitmentを検討するとNAC処理によりこれらの分子のrecruitmentが阻害された。さらに、NAC処理により、^<125>I標識TNFの受容体への結合親和性が著しく低下した。このことから、NACは細胞内で産生された活性酸素を消去することによりNF-κB活性化を阻害しているわけではないことが分かった。一方、PDTCはTNF、IL-1によるNF-κB、JNKの活性化を阻害したが、この時、p38、ERKの活性化はむしろ亢進した。このことから、PDTCは明らかにNACとは異なる作用機構によりNF-κB活性化を阻害していることが分かった。 細胞内に生成した活性酸素が実際にNF-κBを活性化するかどうかを検討する系として、テトラサイクリン誘導発現ベクターを用いて、ドミナントネガティブなN17Rac1あるいは恒常的活性化型のV12Rac1を発現するstable cell lineを樹立した。N17Rac1発現によりTNFによるNF-κB活性化は抑制されなかったが、TPAによるNF-κB活性化及び活性酸素生成が抑制された。一方、V12Rac1発現により活性酸素生成が顕著に上昇したが、この時、TPAによるNF-κB活性化はむしろ抑制された。このことから、TPA刺激によるNF-κB活性化にはRacは必要であるが、Racのeffector分子の一つであるNADPH oxidaseはNF-κB活性化には必要ではないことが分かった。
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