2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14572076
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Research Institution | National Research Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 彰良 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター, 主幹研究員 (70256759)
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Keywords | シアル酸転移酵素 / 組織特異的プロモーター / 転写調節 / HNF-1 / DCoH / PCD |
Research Abstract |
平成15年度の研究ではヒトシアル酸転移酵素遺伝子群のうちα2,6-シアル酸転移酵素遺伝子Iについて大腸癌でのその発現調節機構を明らかにすることを試みた。α2,6-シアル酸転移酵素遺伝子I(hST6Gal I)は多くの大腸癌の症例でその発現が上昇することが明らかになっている。しかし、どのようなメカニズムでこの遺伝子の発現が上昇するのかは明らかではない。そこで、本研究ではhST6Gal I遺伝子の大腸癌での発現メカニズムについて検討した。hST6Gal I転写産物は5'非翻訳領域だけが異なる3種類(type1-3)の転写産物が存在する。これらの転写産物はそれぞれ異なったプロモーター、pI,pX,pY,から転写される。type1の発現は肝臓に、また、type2の発現はB細胞に限られている。しかし、Type3の発現は様々な組織でみられることが明らかになっている。そこで、大腸癌で発現しているhST6Gal I mRNAのtypeを調べるために、それぞれのタイプのmRNAに特異的なプライマーを用いたRT-PCRを行った。その結果、大腸癌ではType1と3のmRNAが発現していた。さらにtype1 mRNAの発現量は肝臓での発現量に匹敵するものであった。したがって、大腸癌ではtype1の発現が上昇していることが考えられた。したがって、pIプロモーターの発現異常が大腸癌では起きている可能性が考えられた。そこで、pIプロモーターの大腸癌での転写調節機構について主にルシフェラーゼアッセイを用いて検討した。その結果、大腸癌でのpIプロモーターの発現にはHNF-1結合部位が重要であることが明らかになった。HNF-1は肝臓に特に多い転写因子として知られているが、大腸にも量は少ないものの存在することが知られている。しかし、HNF-1が大腸癌により増加するという報告はない。しかし、HNF-1とヘテロ2量体を作ることが知られているDimerrization cofactor of HNF-1(DCoH/PCD)が大腸癌で増加することが知られている。したがって、この因子がhST6Gal I遺伝子の大腸癌での発現異常に関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] L.Xu, Y.Kurusu, K.Takizawa, J.Tanaka, K.Matsumoto, A.Taniguchi: "Transcriptional Regulation of Human beta-galactoside alpha2,6-Sialyltransferase (hST6Gal I) Gene in Colon Adenocarcinoma Cell Line."Biochem.Biophys.Res.Commun. 307. 1070-1074 (2003)
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[Publications] Y.Ishibashi, F.Kobayashi, A.Idesawa, A.Taniguchi, S.Matsuzawa: "Effect of carbocisteine on altered activities of glycosidase and glycosyltransferse and expression of Muc5ac in SO2-exposed rats."Eur.J.Pharmacol. 248. 7-15 (2004)