2002 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子BMALの脂肪細胞における発現とその意義
Project/Area Number |
14572077
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
榛葉 繁紀 日本大学, 薬学部, 講師 (20287668)
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Keywords | 時計遺伝子 / 肥満 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
Brain-Muscle Arnt Like Protein(BMAL)は体内時計を制御する転写因子である。生体時計制御遺伝子であるBMALの発見は時間薬物治療における分子基盤を与えるものとして時間薬物治療の概念の急速な発達を促した。例えば喘息、心筋梗塞などの疾病の発症には時間特異性があることが知られており、これら疾患の原因物質の発現はBMALによって制御されている。したがって疾患ならびに時間薬物治療といった観点から考えるならば、従来研究がなされてきた中枢における時計遺伝子の役割に加え、ローカルな時計遺伝子、すなわち末梢組織における時計遺伝子の役割の解明が必要となる。肥満は糖尿病、高血圧および高脂血症の主因であり、ひいては様々な致死的な疾患をひきおこす。肥満は脂肪細胞の数ならびに容積の増加によってひきおこされる。そこで我々は脂肪細胞における体内時計を解析する目的で脂肪細胞分化に伴うBMALの発現量の変化を検討した。その結果BMALの発現量が株化前駆脂肪細胞ならびに間葉系幹細胞における脂肪細胞分化とともに増加することを見出した。またマウス脂肪組織におけるBMALの発現量を検討したところ、前駆脂肪細胞画分に比較して脂肪細胞画分において高い発現が認められた。そこでBMALの脂肪細胞分化誘導能を検討する目的で通常の培養下では脂肪細胞へとは分化しないNIH3T3細胞にBMALを過剰発現させ、その影響を検討した。その結果BMAL過剰発現細胞は分化誘導剤の添加により細胞内に脂肪滴を貯えた。また脂肪細胞特異的な遺伝子の発現パターンを示し、形態的にも遺伝子発現の点からも脂肪細胞への分化が確認された。さらにRNAi法を用いて株化前駆脂肪細胞である3T3-L1細胞内のBMALの発現を抑制したところ3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化はほぼ完全に抑制された。以上の結果よりBMALが脂肪細胞分化において重要な役割を果たしていることが示された。
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