脳血管細胞が発現するプロテオグリカンの特性とその合成調節の解明

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14572080
• Research Institution: Hokuriku University
• Principal Investigator: 鍜冶 利幸 北陸大学, 薬学部, 助教授 (90204388)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤原 泰之 北陸大学, 薬学部, 講師 (40247482) ; 山本 千夏 北陸大学, 薬学部, 講師 (70230571)
• Keywords: プロテオグリカン / グリコサミノグリカン / 内皮細胞 / 周皮細胞 / パールカン / シンデカン / ビグリカン / デコリン

Research Abstract

プロテオグリカンは重要な細胞外マトリックス構成成分であるが,脳微小血管における知見は少ない。そこで,ヒト脳微小血管内皮および周皮細胞の培養系を用いて,その特性を検討した。
ヒト脳微小血管内皮および周皮細胞をコンフルエントまで培養後,コア蛋白遺伝子の発現をRT-PCRで,細胞層と培地に蓄積したコア蛋白をWestern blot分析で,グリコサミノグリカン糖鎖の二糖組成を蛍光標識糖鎖電気泳動法で分析した。
血管内皮細胞では,パールカンおよびビグリカンの発現が認められたのに対し,周皮細胞ではパールカンコア蛋白は検出されず,主としてシンデカン-1,ビグリカンおよびデコリンの発現が確認された。内皮細胞では細胞層と培地においてパールカンとビグリカンが蓄積していた。これに対し,周皮細胞では細胞層においてシンデカン-1およびデコリンが,培地においてビグリカンおよびデコリンが蓄積していた。ヘパラン硫酸糖鎖の二糖組成は,内皮細胞ではGlcA/IdoA-GlcNAc>GlcA/IdoA-GlcNS>GlcA/IdoA(2S)-GlcNSであり,一方,周皮細胞ではGlcA/IdoA-GlcNS>GlcA/IdoA-GlcNAc>GlcA/IdoA(2S)-GlcNSであった。コンドロイチン/デルマタン硫酸糖鎖の二糖組成の分析の結果,周皮細胞ではビグリカンよりもデコリンにおいてイズロン酸含量が高いことが示唆された。
以上より,ヒト脳微小血管において発現しているプロテオグリカン主要分子種が,内皮細胞ではパールカンおよびビグリカンであるのに対し,周皮細胞ではシンデカン-1,ビグリカンおよびデコリンであることが示唆された。また,内皮と周皮ではヘパラン硫酸糖鎖の微細構造に違いがあること,および周皮細胞のビグリカンおよびデコリンのデルマタン硫酸糖鎖の微細構造にも違いがあることが明らかになった。

Research Products

• [Publications] Toshiyuki Kaji: "Sodium spirulan as a potent inhibitor of arterial smooth muscle cell proliferation in vitro"Life Sciences. 74. 2431-243 (2004)
• [Publications] Shogo Katsuda: "Atherosclerosis and extracellular matrix"Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 10. 267-274 (2003)
• [Publications] Yasuyuki Fujiwara: "Analysis of chondroitin/dermatan sulfate microstructure in cultured vascular smooth muscle cells after exposure to lead and cadmium"Journal of Health Science. 49. 504-534 (2003)
• [Publications] Chika Yamamoto: "Differential effects of sodium spirulan on the secretion of fibrinolytic proteins from vascular endothelial cells : enhancement of plasminogen activator activity"Journal of Health Science. 49. 405-409 (2003)
• [Publications] Toshiyuki Kaji: "Vascular smooth muscle cells in culture express tumor necrosis factor-α that suppresses collagen synthesis depending on cell density"Journal of Health Science. 49. 115-122 (2003)
• [Publications] Toshiyuki Kaji: "Ropair of wounded monolayers of cultured bovine aortic endothelial cells is inhibited by calcium spirulan, a novel sulfated polysaccharide isolated from Spirulina platensis"Life Sciences. 70. 1841-1848 (2002)