2002 Fiscal Year Annual Research Report
三量体GTP結合蛋白質による細胞骨格制御機構の解明
Project/Area Number |
14572089
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
上田 浩 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生化学部, 研究員 (50253779)
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Keywords | 三量体G蛋白質 / 細胞接着 / 細胞死 / Rho / Rhoキナーゼ / チロシンホスファターゼ / Akt / インスリン |
Research Abstract |
三量体G蛋白質による細胞接着・運動の制御機構を明らかにすることを目的にし、HeLa細胞におけるGq/11が誘導する接着斑様構造形成のメカニズムを昨年度に続き検討した。活性化型Gα11による接着斑様構造の形成は、カスパーゼによりRhoキナーゼ(ROCK-1)が切断されて活性化されたためであることが明らかになったので、Gαq/11によるカスパーゼの活性化機構を追求した。Bcl-2の過剰発現でROCK-1の切断が阻害されたのでミトコンドリア系細胞死シグナルの関与が示唆された。Aktの活性化型を発現してもカスパーゼの活性化が抑制された。インスリン刺激によりAktのリン酸化が増加するが、この増加はGq/11刺激で抑制された。Gq/11によるAktの活性化抑制についてさらに検討し、次の2つの経路の関与が明らかになった。1)IRS-1に特異的なチロシンホスファターゼが関与する経路:Gq/11刺激によるAktのリン酸化抑制は、orthovanadateにより一部回復した。インスリン受容体や基質のIRS-1のチロシンリン酸化のレベルはインスリン刺激で高くなるが、Gq/11刺激でIRS-1のリン酸化は有意に減少したが、インスリン受容体のリン酸化は変化しなかった。orthovanadate存在下ではインスリン単独、インスリン+Gq/11刺激どちらの場合もチロシンリン酸化のレベルは高くなったが、両者間で有意の差が見られなくなった。2)Rhoを介する経路:Rhoドミナントネガティブ変異体を発現するとGq/11によるAktのリン酸化の抑制が一部回復した。Gq/11刺激で内在性RhoAの活性化が観察された。これら2つの経路の阻害はどちらも部分的であるが、orthovanadateとRhoドミナントネガティブ体を同時に作用させると、Gq/11によるAktのリン酸化抑制およびROCK-1の切断をほぼ完全に消失することができた。これらの結果は両経路が独立なものであることを示している。
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Research Products
(1 results)