2003 Fiscal Year Annual Research Report
非ダイオキシン様ハロゲン化合物の新たな毒性評価法の開発
Project/Area Number |
14572119
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
古賀 信幸 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (80136514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 正治 鎌倉女子大学, 家政学部, 講師 (30231822)
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
金丸 知代 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (50291836)
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Keywords | ダイオキシン類 / CB187 / 代謝物 / チトクロムP450 / 胎児培養法 / 毒性評価 |
Research Abstract |
1.2,4,5-三塩素置換PCBの一つであるPCB187はそれ自身、生体への高い蓄積性を有しているが、一方、代謝物の4-水酸化(OH)体は陸棲哺乳動物血中において高濃度検出されている。そこで本年度は、PCB187のin vitro代謝についてラット、ハムスターおよびモルモット肝ミクロゾーム(Ms)を用いて検討した。PCB187を肝MsとともにNADPH存在下、好気的に37℃、60分間インキュベートした。代謝物はn-hexaneで抽出後、メチル化し、GC-ECDで調べた。その結果、未処理肝Msの場合、モルモットでのみ保持時間17.6min、21.5minおよび22.5minに代謝物と思われる3本のピーク(それぞれM-1、M-2およびM-3とする)が観察された。これらの生成量はM-2≧M-1>>M-3の順であった。なお、ラットおよびハムスターでは全くピークは検出されなかった。次に、PB前処理Msの場合、モルモットでは、M-1とM-2が未処理の約3倍に増加したが、M-3は全く変化なかった。ラットとハムスターでもPB前処理により、M-2の生成が観察されたが、その生成量はモルモット>ラット>ハムスターの順であった。さらに、MC前処理Msの場合、モルモットではM-1とM-2の生成量が激減したもののM-3だけは未処理の約2倍に増加していた。ラットとハムスターでは代謝物はほとんど生成されなかった。なお、GC-MSの結果、M-1は分子量388であることから塩素が1個脱離したOMe体であること、またM-2とM-3は分子量422であることから、いずれもmonoOH-PCB187のメチル化体であることが判明した。一方、別途合成した4-MeO-PCB187のGCでの保持時間はM-3のメチル化体と完全に一致した。このことからM-3はPCB187の4-OH体であることが示唆された。以上の結果から、PCB187の場合も、PCB153やPCB138と同様に、2,4,5-三塩素置換ベンゼン環の方がより酸化され易いこと、モルモットで最もよく代謝されること、PB誘導性P450によって代謝されること、などが明らかとなった。 2.哺乳類全胚培養法を用いて薬物に対する胎児毒性を検討する場合、溶媒により薬物の影響に変化が生じる可能性がある。そこで平成15年度は、薬物投与における溶媒の検討を行った。今回の試験薬(PCBおよび代謝物)の溶媒は、有機溶媒系に限られるため、主な溶媒として、dimethyl sulfoxide(DMSO)、ethanol、界面活性剤(Tween 80)、コーン油を用い、薬物の溶解性と培養胎児に及ぼす影響の差異について検討を行った。その結果、DMSOが最も溶解性がよく、投与溶媒量も20ulと少量で投与可能であった。さらにDMSO 20ulのみにおける培養胎児の影響は確認されなかった。以上の結果から、本研究での溶媒はDMSOを使用することに決定した。平成16年度はPCBおよびその代謝物の投与を行うつもりである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Koichi Haraguchi, Yoshihisa Kato, Nobuyuki Koga, R.Aoshima, Masakuni Degawa, Ryohei Kimura: "Identification and tissue distribution of catechol metabolites of polychlorinated biphenyls in rodents dosed with Kanechlor 500."Organohalogen Compounds. 64. 345-348 (2003)
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[Publications] 古賀信幸, 原口浩一, 金丸知代, 加藤善久, 木村良平: "2,3,3',4,4'-五塩素化ビフェニル(CB105)のハムスターにおける代謝"福岡医学雑誌. 94. 174-182 (2003)
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[Publications] Yoshihisa Kato, Koichi Haraguchi, Tomoaki Yamazaki, Yuriko Ito, Shoji Miyajima, Kiyomitsu Nemoto, Nobuyuki Koga, Ryohei Kimura, Masakuni Degawa: "Effects of polychlorinated biphenyls, Kanechlor-500, on serum thyroid hormone levels in rats and mice."Toxicological Sciences. 72. 235-241 (2003)