2003 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性遺伝子キャリアーとしてのデンドリマー/シクロデキストリン結合体の構築
Project/Area Number |
14572158
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 英俊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50260964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 文俊 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (90094036)
上釜 兼人 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90040328)
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30194658)
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Keywords | シクロデキストリン / デンドリマー / 結合体 / 遺伝子導入 / 細胞障害性 |
Research Abstract |
我々は,遺伝子導入能が高く,細胞障害性の低い遺伝子導入用ポリマーの開発を企図して,低分子量デンドリマーとシクロデキストリン(CyD)との結合体を種々合成し,その構造,物理化学的性質,in vitroおよびin vivo遺伝子導入能,細胞障害性などについて検討を行った.その結果,空洞系の異なる3種のCyDの中で,空洞系の最も小さなα-CyDが,また3種のデンドリマーのジェネレーション(G)の中で,G3のものが,さらに結合体中におけるα-CyDの平均置換度が24のものがin vitroおよびin vivoにおいて最も優れた遺伝子発現を示し,かつ細胞障害性も低いことを明らかにした.次に,α-CDE結合体に組織特異的遺伝子発現能の付与するため,複数個(1〜15)のガラクトース分子を結合したGalCDE結合体を合成し,その化学的・物理化学的性質をNMR,電気泳動などを用いて明らかにした.その結果,GalCDE結合体はプラスミドDNAと複合体を形成するが,置換度の増大により形成能は低下すること,GalCDE結合体はいずれの置換度においても,pDNAのコンパクションを惹起しないことを明らかにした.遺伝子導入実験において,アシアロ糖タンパクレセプターを発現したHepG2細胞および非発現細胞NIH3T3を用いて検討した結果,HepG2細胞においてGalCDE結合体中のガラクトースの置換度が4.3および5.2のものが遺伝子発現効率に優れ,α-CDE結合体より約20倍高値を示した.また,ガラクトースの置換度が84および146のものはα-CDE結合体よりも遺伝子の発現は低値であった.一方,NIH3T3細胞における遺伝子発現はガラクトースの置換度が4.3のGalCDE結合体が最も高く,α-CDE結合体の約20倍高値を示した.ガラクトース添加による競合実験において,GalCDE結合体の遺伝子導入効果の低下は観察されなかった.これらのことから,糖修飾α-CDE結合体による遺伝子導入効率の改善は細胞表面のレクチンとの結合とは異なる機序により生じ,pDNA複合体の細胞内動態の違いに起因することが示唆された.現在,ガラクトースとCyDとの間にスペーサーの導入ならびに葉酸化CDE結合体の調製について検討中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fumihiro Kihara: "Effetcts of Structure of polyamidoamine dendrimer on gene transfer efficiency of the dendrimer conjugate with α-cyclodextrin"Bioconjugate Chemistry. 13・6. 1211-1219 (2002)
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[Publications] Hidetoshi Arima: "Cell-Specific Gene Transfer by α-cyclodextrin conjugates with mannosylated polyamidoamine"J.Incl.Phenom.Macrocycl.Chem.. 44・1-4. 361-364 (2002)
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[Publications] Fumihiro Kihara: "In vitro and in vivo gene transfer by an optimized α-cyclodextrin conjugate with polyamidoamine dendrimer"Bioconjugate Chemistry. 14・2. 342-350 (2002)