2002 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛下のモルヒネ反復投与によるオピオイド受容体情報伝達の変容と脱感作抑制現象
Project/Area Number |
14572163
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
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Keywords | 慢性疼痛 / 痛み刺激 / モルヒネ / 耐性形成 / 細胞内情報伝達 / κオピオイド受容体 / PKC / μオピオイド受容体 |
Research Abstract |
臨床におけるがん性疼痛治療において、morphineの反復投与による耐性・依存が形成されにくいとの報告がある。我々は慢性疼痛モデル動物を作成し、上記の現象を再現することに成功し、痛み刺激によるκオピオイド受容体(κ受容体)機構の活性化や、protein kinase C (PKC)などによる受容体リン酸化の減少が耐性形成抑制を誘導する可能性を示唆してきた。今年度は、慢性疼痛下におけるκ受容体mRNAの発現変化、morphine耐性形成抑制時における各種PKCサブタイプの関与、さらにはPKCの変動に対するκ受容体の関与について検討した。 Morphineの鎮痛効果に対する耐性が形成されたマウス脳中脳部位において、薬物未処置の対照群に比較してκ受容体mRNAの有意な発現上昇が観察された。しかしながら、慢性疼痛下のmorphine耐性不形成動物においては、κ受容体mRNA発現の顕著な変化は認められなかった。行動薬理学的検討において、cPKC型のPKCα、β、γサブタイプに対するAS-ODN処置は、慢性疼痛下と同様にmorphine耐性形成が抑制され、nPKC、aPKC型では影響は認められなかった耐性形成時にcPKCサブタイプのタンパク質発現上昇がみられたが、慢性疼痛下ではその上昇は消失した。さらに、慢性疼痛動物にκ受容体に対するAS-ODNの処置によって、耐性が形成されPKCαの発現上昇もみられた。 以上、慢性疼痛下におけるmorphineの鎮痛効果に対する耐性形成抑制は、痛み刺激によるκ受容体機構の活性化が起こることによってcPKC活性の減弱し、μ受容体リン酸化の減少、すなわちmorphine耐性形成の抑制に起因するものと推察される。
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