2002 Fiscal Year Annual Research Report
標準的3剤併用ピロリ菌除菌療法によるCYP3A4阻害作用の検討
Project/Area Number |
14572166
|
Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
越前 宏俊 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (00191924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 明弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (00194225)
|
Keywords | クラリスロマイシン / シトクロームP450 / ヘリコバクターピロリ菌 / 薬物相互作用 / ランソプラゾール / コルチゾール / 部分代謝クリアランス / 6β水酸化コルチゾール |
Research Abstract |
標準的なHP菌除菌療法はプロトンポンプ阻害薬、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用であるが、抗HP作用の中心であるクラリスロマイシン(CAM)は、シトクロムP450(CYP)3A4分子種の代謝活性を阻害することが知られており、多くのCYP3A4基質薬物との薬物相互作用が報告されている。そこで、HP除菌療法に標準的に用いられる投与量(400-800mg/day)と投与期間(1週間)で、どの程度のCYP3A4阻害作用が生じるかを評価した。本研究では、ピロリ菌除菌療法実施中の患者においてCYP3A活性を非侵襲的および治療に無関係な薬物の投与なく行うため、治療前後の血漿コルチゾール濃度と3時間蓄尿により評価可能な、内因性コルチゾールの6β位水酸化体への代謝クリアランス(CLm_<6βOHC>)を指標として用いた。その結果、多くのピロリ菌治療ガイドラインで推奨されている1週間の400mg/dayおよび800mg/dayのCAM投与により、(CLm_<6βOHC>)は、治療前値に比較して約30および60%有意(P<0.05)に低下した。一方、CAMを除く他の2剤のみの投与を受けた健康人志願者では、(CLm_<6βOHC>)は有意な変化を示さなかった。また、(CLm_<6βOHC>)の変化と同時に、プロトンポンプ阻害薬として用いられたランソプラゾールの経口投与後3時間後の血漿濃度は、対照群、CAM400mg/day、800mg/dayの順に増加していた(P<0.05)。以上の結果から、標準的なピロリ菌除菌療法に用いられる投与量でCAMは、肝薬物代謝酵素CYP3Aを有意に阻害するため、併用薬にCYP3Aにより代謝される薬物を服用している患者では、薬物代謝阻害に基づく相互作用の注意が必要であることが判明した。一方、CAMによるCYP3Aの阻害作用は、プロトンポンプ阻害薬のCYP3A代謝経路の阻害を介して、治療中の血漿濃度を増加させるため、ピロリ菌除菌効果を増強している可能性も示唆された。今後は、in vivoにおけるCAMによるCYP3A阻害作用がin vitro実験系で予測可能か否かを検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Ushiama H, Echizen H, Nachi S, Ohnishi A: "Dose-dependent inhibition of CYP3A activity by clarithromycin during Helicobactre pylori eradication therapy assessed by changes in plasma lansoprazole levels and partial cortisol clearance to 6β-hydroxycortisol"Clin Pharmacol Ther. 72. 33-43 (2002)