2004 Fiscal Year Annual Research Report
核内転写因子を分子標的とした新規リウマチ治療の試み
Project/Area Number |
14572167
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Research Institution | Toho University School of Medicine |
Principal Investigator |
川合 眞一 東邦大学, 医学部・内科学講座, 教授 (70129401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北里 英郎 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90195256)
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Keywords | apoptosis / PPARgamma / NSAIDs / celecoxib / rheumatoid arthritis / synovial fibroblasts / colon cancer / triptolide |
Research Abstract |
我々は、従来から核内転写因子活性化を介した新規のリウマチ治療薬に関して基礎研究を進めてきた。この一連の研究の中で、関節リウマチ(RA)の病変部位であるヒト関節滑膜細胞において、インドメタシンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の一部は、PPARγ活性化を介してアポトーシスを誘導することを見出した(J pharmacol Exp Ther 2002;302:18-25)。一方、選択的COX-2阻害薬は重症消化管障害の少ないNSAIDsとして近年注目されている薬物群である。これらは、消化管障害が少ない事から比較的高用量の投与が可能なため、アポトーシス誘導などのCOX阻害以外の作用に適していると考えられている。そこで、6種類の選択的COX-2阻害薬のヒト滑膜細胞に対するアポトーシス誘導作用を調べたところ、セレコキシブのみに臨床用量に比較的近い濃度からアポトーシス誘導によるRA滑膜細胞の増殖抑制作用が認められた(Arthritis Rheum 2002;46:3159-67)。加えて、このセレコキシブの細胞アポトーシス誘導作用は、大腸癌細胞でも認められた(FEBS Lett 2002;531:278-284)。これらの作用は、いずれもCOX-2阻害活性には関係せず、またPPARγ活性化とも必ずしも関係しない新規の作用機序によることが明らかとなった。これらの情報から、我々はセレコキシブによるアポトーシス誘導作用の特異的受容体が存在するという作業仮説に立って、その検索を開始した。現在までのところ、その発見には至っていないが、その研究の過程で滑膜細胞と癌細胞に対してセレコキシブよりも10倍強力なアポトーシス誘導作用を発揮する新規のセレコキシブ誘導体を合成した。この新規物質について、本年度は詳細に検討したところ、セレコキシブよりもCOX-2阻害活性は低いがヒト滑膜細胞に対するアポトーシス誘導作用は種々の検討で確認し、現在論文を投稿中である。なお、我々はこの研究の過程で漢方薬の成分の1つであるトリプトリドにも同様の作用があることを明らかにした(BMC Pharmacol 2004;4:2)。種々の化合物の違いを含め、今後も作用機序の詳細な検討などを進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)