2002 Fiscal Year Annual Research Report
内因性物質・スパイノルフィンによる新たな発痛制御の解析
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14572172
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山本 行男 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80124501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽里 忠彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (60109949)
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Keywords | 内因性物質 / スパイノルフィン / 疼痛制御 / 炎症制御 / 酵素免疫測定法 |
Research Abstract |
脊髄より発見したエンケファリン(ENK)分解酵素阻害物質・スパイノルフィンが、ブラジキニンを用いた薬理試験で強力な鎮痛活性を有し、G蛋白質を介さない新たな情報伝達機構に関与している可能性が考えられた、更に、構造活性相関により、本物質の活性発現にENK分解酵素のdipeptidyl peptidase III (DPPIII)が要として働いていることも分かってきた。今年度、1)スパイノルフィンが脊髄液中に存在かを分析し、本物質とENK代謝酵素がどのような痛みに関連しているかその動態解析を、および2)スパイノルフィン受容体の探索を、ラット脊髄細胞(シナプス膜画分)への放射標識したリガンドを用いて行った。 脊髄液は、東京都立駒込病院倫理委員会での承認を得た後、手術時に採取し使用まで凍結保存した。スパイノルフィンの測定は、試料を酸処理そしてODSカラムクロマトグラフィーにて前処理し、特異抗体を用いた酵素免疫定量法(EIA)により測定した。 1)本物質の定量に際し、ENK代謝酵素の影響を検討したが、EIAを用いた測定系に顕著な影響を及ぼさなかった。脊椎麻酔手術を受けた様々な患者由来の脊髄液中には、スパイノルフィンが15.2±21.8(0,14〜83.0,n=30)ng/ml含まれ、ENKなどのペプタイドと比較して高濃度存在していた。現在、本物質のレベルと病態との関連性を明らかにするため、データの集積を進めているところである。 2)ラット脊髄のシナプス細胞に対する標識スパイノルフィンを用いての結合実験から、結合定数Kd=16nMの結合タンパク質を同定した。本タンパク質がスパイノルフィンに対する生理的な特異受容体であるか、また従来のオピオイド受容体との関連性など、今後検討していく。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamamoto, Y., et al.: "Spinorphin as an endogenous inhibitor of enkephalin-degrading enzymes : Roles in pain and inflammation"Current Protein and Peptide Sciences. 3,(6). 587-599 (2002)
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[Publications] Hazato, T. et al.: "A new pain regulated substance ・ spinorphin from spinal cord"Jpn. J. Pharmacol.. 88 Suppl.1. 138 (2002)
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[Publications] Shimamura, M., et al.: "A hypoxia-dependent nitroimidazole KIN-841 inhibits angiogenesis by blocking production of angiogenic factor"Brit. J. Cancer. (in press).
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[Publications] 佐藤洋, その他: "脳脊髄液中におけるエンケファリン代謝酵素dipeptidyl peptidase III (DPPIII)の動態"麻酔. (印刷中). (2003)
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[Publications] 羽里忠彦, その他: "食肉に関する助成研究調査成果報告書。ウシ脊髄由来の新しい生理活性物質・spinorphinの研究"伊藤記念財団. 4 (2002)