2004 Fiscal Year Annual Research Report
IgGの糖鎖修飾によりマクロファージの貪食能を制御する技術の開発
Project/Area Number |
14572186
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木村 聡 昭和大学, 医学部, 助教授 (30255765)
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Keywords | IgG / 糖鎖 / マクロファージ / 胎盤機能 |
Research Abstract |
ヒト血清IgGのFc部分にはアスパラギン結合型の糖鎖が付着しており、IgGの3次元構造の維持に関与している。新生児の免疫能は、母体から胎盤を介して供給されるIgGに依存するが、両者でIgG糖鎖に差があるかに関しては報告がない。そこで平成16年度は、前年に引き続き症例数を増やして臍帯血と母体血でIgG糖鎖の比較を行った。すでに我々は成人とは異なる糖鎖組成比を臍帯血IgGに認めており、Fc部分を介したマクロファージの貪食能が高いタイプの糖鎖であることを解明している。この免疫活性が高い糖鎖をもつIgGが、より効率的に母体から供給されることにより、胎児の未熟な免疫能を補っていると推定される。分析手法の詳細は我々の既報(S. Kimura et al.:Clinica Chimica Acta 299:169-177,2000)によった。分析の結果、シアル酸を除去したマンノースコア末端にガラクトースが2分子ついたタイプの糖鎖が、母体血、臍帯血とも高いことが判明した。この糖鎖は、他にくらべマクロファージのFc-mediated phagocytosis活性が高いとされている。したがって、糖鎖の違いが胎盤移行性だけでなく、新生児のマクロファージを介した免疫能にも大きく影響することが推定される。一方この糖鎖が少ないIgGは、子宮内発育遅延や胎盤機能障害の症例に多く認められる傾向がわかってきた。次年度は、虚血性病変によって誘導されるという変性アルブミン(IMA)との関わりについて検討を進める予定である。
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