2002 Fiscal Year Annual Research Report
基礎看護技術教育における模擬患者を介したナラテイブ・アプローチの導入とその有効性
Project/Area Number |
14572229
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大池 美也子 九州大学, 医学部, 教授 (80284579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長家 智子 九州大学, 医学部, 講師 (70207976)
北原 悦子 九州大学, 医学部, 助教授 (60204905)
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Keywords | ナラテイブ・アプローチ / 模擬患者 / 基礎看護技術教育 / 体験学習 |
Research Abstract |
1 シナリオ作成に必要な資料収集として、(1)病棟における実際め患者とのインタビュー、(2)ナラテイブに関する文献収集、(3)闘病記の文献収集、を行った。(1)のインタビュー経験から、患者が放つ物語の「はじめbeginning」に向かう看護師の関わり方の重要性が見いだされた。物語の「はじめbeginning」は、物語の「展開middle」と「終結ending」へと発展させる看護師自身の経験と創造性を必要とし、また、聞き手のみならず語り手として患者の物語を共に作り上げていく看護師の立場が明らかになった。(2)の文献収集では、ナラテイブ・アプローチに関するこれまでの分析方法を中心に要約するとともに、『物語と時間』(Paul Ricoeru,久米博訳、新曜杜)がナラテイブの核となる図書として検討された。(3)の闘病記から、医療を受け身的に捉える患者ではなく、自己の生き方に積極的に関わろうとする能動的な患者への理解に向けた可能性が見いだされてきた。 2 平成14年度、看護学生1年生を対象に8名の模擬患者を活用した基礎看護技術テストを行ったが、それによって、以下のような模擬患者による演習の可能性と今後の課題が見いだされた。現実的な模擬患者演習は看護学生1年生に強い緊張感をもたらし実践能力を十分に発揮できなかったこと、また、看護学生より看護教官による技術評価の相違に関する指摘があった。その一方、模擬患者からのフィードバックでは、看護学生のコミュニケーションについて好ましい評価があった。これらの内容は、次年度に実施予定のナラテイブ・アプローチによる演習に向けた課題として取り上げていく予定である。 上記1と2から、今後、患者理解に向けたナラテイブのテーマを明確にしそのシナリオを作成すること、看護学生2年生もしくは3年生を対象に演習に取り組む予定である。
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