2003 Fiscal Year Annual Research Report
『NOTES ON NURSING』におけるNursingの意味とその構造化
Project/Area Number |
14572254
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
小澤 道子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40297065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐居 由美 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (10297070)
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30194947)
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Keywords | Florence Nightingale / NOTES ON NURSING / Nursing / 看護 / 看護学 / 霊性 |
Research Abstract |
平成15年度は、昨年度に引き続き、(1)書誌学的アプローチを用いて分析対象テクスト(フロレンス・ナイチンゲール著、小林章夫、竹内 喜訳:看護覚え書対訳、うぶすな書院1998)から「Nursing」という言葉と「Nature」・「God」・「nature」・「reparative」・「providence」・「law」の言葉を含む文を原文と邦文で抜き出してカード化した7つの言葉ごとにその意味内容を検討し、次いで(2)カード化された7つの言葉を本文の文脈(序章から終章)に照合しながら言葉の意味関連を検討した。さらに(3)底本テクストと同じ1860年に私家版「Suggestions for Thought」の文献購読とナイチンゲールの考える「神・自然観」への神学的知識の教授をうけ「Nursing」の意味検討を行った。 その結果、(1)「NOTES ON NURSING」の序章と終章に7つの言葉が集中され、第1命題:神の法則(the law of God)・生命の法則(the law of life)、第2命題:病気は、修復作用過程(a reparative process)で自然の働き(effort of nature)、第3命題:病気の症状や苦痛は、新鮮な空気、陽光、静かさ、清潔などの一部または全部が欠けていることが原因、従って看護(Nursing)は、新鮮な空気や陽光、暖かさや清潔さなどを適切に保ち、生命力の消耗を最小にするというナイチンゲールの定義に繋がることが解釈された。また、(2)そのナイチンゲールの看護の定義の背景には、自然科学が発達して神への信仰が失われつつあった19世紀に「自然の法則」の根源に「神の法則」があることを説き、神の本性を宿す人間の本性を人間自らが発揮できるようにしたい主張があり、ナイチンゲールの看護観の理解には、「霊性・神の問題」の大きいことが示唆された。 次年度は、人間の「霊性」(スピリチュアリティ)と看護(Nursing)との関係から、Nursingの意味を検討課題としたい。
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