2004 Fiscal Year Annual Research Report
『NOTES ON NURSING』におけるNursingの意味とその構造化
Project/Area Number |
14572254
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
小澤 道子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40297065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30194947)
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
佐居 由美 聖路加看護大学, 看護学部, 助手 (10297070)
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Keywords | Florence Nightingale / NOTES ON NURSING / Nursing / 看護 / 看護学 / 霊性 |
Research Abstract |
平成16年度(3年目)は、引き続き底本テクスト「NOTES ON NURSING」を書誌学的アプローチで検討した。(1)「Nursing」の定義を定め、底本テクストで使用されている「Nursing」の意味関連検討、(2)底本テクストから「Nursing」との関連を検討してきた「Nature」・「God」・「nature」・「reparative」・「providence」・「law」・「disease」・「health」の文脈上の意味関連の整理、(3)底本テクストと同じ1860年のナイチンゲール私家版「Suggestions for Thought」翻訳校正作業をしながら、「Nature」・「God」・「nature」・「providence」・「law」の5つのことばの意味理解について神学的専門的知識の教授を受け、(4)「Nursing」の意味の構造化をすすめた。 その結果、(1)「NOTES ON NURSING」と「Suggestions for Thought」の比較により、前者は、健康を守る女性(看護者)にむけてNightingaleのこれまでの観察と経験(実践)の集大成のメモ書きであり、近代学間として看護(Nursing)の概念化と専門職教育の創始と位置づけられ、後者は、無神論の労働者に向けてキリスト教を基本におき、これまでの思想的・信仰的信条・学問的思索の集大成であった。それ故 前者から「Nature」・「nature」・「reparative」・「disease」・「health」のキーワードが、後者から「God」・「law」さらに「Truth」・「Spiritual life」・「Human Will」・「Religion」のキーワードの意味する内容の検討が「Nursing」の意味を明瞭化することが示唆された。 □「Nursing」の定義は、人間の身体面と身体と霊的生活の相互性と、看護者(女性)が人と環境、人と神の間で実践(観察と経験)する、の2つのテーマから構成されると推察できた。 □「Nursing」・「disease」は、明瞭に定義されているが、「health」は多義的に使用されていた。 以上、人は、病気(身体)という苦痛・苦悩の過程でも、霊的生活を通して神とひとつになれると考え、自然科学の「知」と神についての「知」を重ねる新しい「知」(科学)の創造として知識と実践を融合させた看護(学)を考えていたことが推察された。
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