2005 Fiscal Year Annual Research Report
『NOTES ON NURSING』におけるNursingの意味とその構造化
Project/Area Number |
14572254
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Research Institution | St.Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
小澤 道子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (40297065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香春 知永 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (30194947)
横山 美樹 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (70230670)
佐居 由美 聖路加看護大学, 看護学部, 講師 (10297070)
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Keywords | Florence Nightingale / Notes on nursing / Nursing / 看護学 / 霊性 |
Research Abstract |
Florence Nightingaleは、彼女の有名な著「Notes on Nursing」の序章に「看護(Nursing)という言葉を私は使っていますが、これは他に良い言葉が見つからないからなのです」と述べている。この看護「Nursing」という言葉を使用した背景の検討を、同じ年に出版された「Suggestions for Thought」と関連させて行った。書誌学的アプローチを用い、底本テクストは、F Nightingale 40歳の著述「Notes on Nursing」(小林、竹内訳:看護覚え書対訳 うぶすな書院 1998)と「Suggestions for Thought」(小林監訳:真理の探究 うぶすな書院2005)である。手続きは、先行研究(2001)から抽出されたキーワードを中心に両テクストの原文と邦文を対応させ、両テクストの意図・位置づけ・内容の特徴・構成・キーワード・論旨・出版状況などの枠組みから「Nursing」という言葉を使用した背景からその構造を検討した。 その結果、実践の書である「Notes on Nursing」と、その実践を支える思想・信仰・思索の書である「Suggestions for Thought」の両者における、看護「Nursing」という言葉に着目した分析から、Nighttingaleは、当時の上流階級と労働者階級の格差の現実を問題とし、上流階級の生き方とキリスト教界に失望していたこと、そして、家族の健康を守る女性と工業化の推進者である労働者の命の問題、真理の探究、神の国の実現を考えてほしいという絶大な期待と願いをもっていたこと、さらに、自然科学(学問)が人間と自然(science)との関係で発展していく中で、人間と自然(science)と神(God・Nature)との関係で新しい知識論(学問)を概念化し、教育をしていきたいとも考え「Nursing」という言葉を用いたという構造が明らかになった。
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