2002 Fiscal Year Annual Research Report
退職した高齢男性のヘルスプロモーション・モデルの開発
Project/Area Number |
14572257
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
掛本 知里 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (60254562)
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Keywords | 退職者 / 高齢男性 / ヘルスプロモーション |
Research Abstract |
Rodgers(2000)は、帰納的、記述的な概念分析の方法を提示している。本年度は、Rodgersの概念分析の手法を用い、高齢者のヘルスプロモーションの概念の検討を行った。 本研究で使用する高齢者のヘルスプロモーションに関する文献は医学、看護学、心理学、社会学のそれぞれの分野において、1991年から2001年の間に出版された日本語、英語の文献であり、コンピューター検索の結果をレビューし、Medlineから148文献、CINALから72文献、PsycINFOから71文献、そのうち重複を除いた計206文献が選択された。また医学中央雑誌からは56文献が選択された。概念分析に用いる文献は、文献検索の結果をもとにデータベースを作成し無作為に選択した。サンプルサイズの決定において、信頼のおける分析を実施するためには、30文献もしくは全体の20%の文献が必要であることが示されており(Rodgers,2000)、それにあわせ、英文の文献206文献の中か42文献、日本語の文献から30文献を無作為に抽出し、分析を行った。 概念分析の結果明らかになった高齢者のヘルスプロモーションとは、健康の維持、増進のため、高齢者が生活するソーシャルコンテクストの中から導き出される動的なプロセスであった。具体的には、社会的弱者としての高齢者のための社会施策、または疾病予防のための個人のセルフケア活動として展開されていた。一方、"An umbrella term"でもあるヘルスプロモーションは、健康の維持、増進に関わる包括的な理念を示す概念でもあった。一般的にヘルスプロモーションは、疾病予防というよりは健康に関連した概念であるが、高齢者のヘルスプロモーションは一般的に用いられているヘルスプロモーションに比べ、より疾病予防に近い概念であった。 これらのヘルスプロモーションの概念は、主に社会や専門職の視点から導かれたものである。しかしこれらの概念と、Chen(1996)やFrenn(1996)が明らかにした高齢者自身の視点によるヘルスプロモーションの概念との間にはずれがあり、今後、退職移行期にある高齢男性のヘルスプロモーションの概念を、彼らが生活するソーシャルコンテクストを踏まえ、彼ら自身の視点から明らかにすることが重要である。
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