2002 Fiscal Year Annual Research Report
療養型病床群における高齢者の転倒:EBNに基づいた運動プログラムの作成
Project/Area Number |
14572270
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 真由美 金沢大学, 医学部, 助手 (20293350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 康吉 群馬大学, 医学部, 助手 (60231875)
平松 知子 金沢大学, 医学部, 講師 (70228815)
泉 キヨ子 金沢大学, 医学部, 教授 (20115207)
正源寺 美穂 金沢大学, 医学部, 助手 (80345636)
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Keywords | 転倒 / 療養型病床群 / 運動プログラム / 高齢者 / EBN |
Research Abstract |
【目的】本研究は、脆弱な療養型病床群の高齢者を対象にEBN(Evidence-Based Nursing)に基づいた、病棟生活に活用できる運動プログラムを作成するための3年間にわたるものである。本年度は、1、文献検討と専門家の意見を取り入れて運動プログラムを試作しプレテストを行うこと、および2、比較検討のため健康教室に参加している高齢者の筋力について転倒との関連を検討したことである。 【方法】 1、運動プログラム作成のための文献検索はコクランライブラリ、PubMed、CINAHL、医学中央雑誌を使用し、キーワードは転倒、予防、運動、高齢者を用いた。 2、対象:本研究に同意が得られた地域高齢者75名(男性18名・76.3歳、女性57名・74.4歳)である。方法:過去1年間の転倒・損傷状況、日常生活状況、日常生活活動効力感および転倒恐怖感について調査し、身体機能として下肢筋力、握力、骨密度、重心動揺を測定した。調査期間:平成14年9月3日である。 【結果】 1、EBNに関連した文献は、コクラン5件、PubMed19件、CINAHL16件、医中誌15件がヒットし、その中で18件を活用した。文献検討から試作した運動プログラムは、(1)Warm Up、(2)Static Stretching Exercise、(3)筋力・筋持久力運動、(4)足指トレーニング、固有受容性神経筋促通法(PNF)、(5)整理体操であり、現在プレテストを実施している。また、その効果については転倒恐怖感の軽減など、心理面に対しても検討している。 2、男性は人数が少なかったため比較できなかったが、女性は下肢筋力および握力に有意差がみられた。すなわち、75歳未満の膝屈曲筋力は転倒者が7.9±2.4kg、非転倒者が10.7±2.8kgであり、75歳以上の握力、(右)は転倒者が17.8±2.6kg、非転倒者が21.5±4.3kg、握力(左)は転倒者が17.3±5.4kg、非転倒者が20.9±4.7kgであった。骨密度および重心動揺はいずれも差はなかったが、骨密度は75歳以下の転倒者が24%と骨粗鬆症の危険域である25%より低かった。 【考察】以上のことから、転倒は身体機能のみならず心理面からも継続して検討していく必要が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 平松知子, 泉キヨ子, 加藤真由美他: "入院高齢者の転倒予測に関するアセスメントツールの評価-転倒経験がない場合の転倒予測-"金沢大学つるま保健学会誌. 26(1). 107-110 (2002)
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[Publications] Kiyoko Izumi, Kiyoko Makimoto, Mayumi Kato, Tomoko Hiramatsu: "Prospective study of fall risk assessment among institutionalized in Japan"Nursing and Health Sciences. 4. 141-147 (2002)
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[Publications] 平真紀子, 泉キヨ子, 河村一海, 加藤真由美他: "入院高齢者の転倒経験とその後の予防のとらえ方"日本看護研究学会雑誌. 25(2). 17-28 (2002)
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[Publications] 加藤真由美, 泉キヨ子, 平松知子他: "リハビリテーション病棟における転倒予測に関するアセスメントツールの評価"第14回日本リハビリテーション看護学術大会集録. 111-116 (2002)
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[Publications] 安田知美, 加藤真由美, 泉キヨ子他: "療養型病床群における高齢者の転倒予防看護介入-病棟レクリエーションに下肢筋力運動を取り入れて-"第14回日本リハビリテーション看護学会. 117-119 (2002)
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[Publications] 泉キヨ子, 平松知子, 加藤真由美他: "入院高齢者の転倒予測に関するアセスメントツールの開発と評価"中日医学大会2002. 169-175 (2002)
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[Publications] 平松知子, 泉キヨ子, 加藤真由美他: "入院高齢者の転倒予測に関するアセスメントツールの評価(第4報)-トリガーを加えた1ヶ月毎の転倒予測-"第22回日本看護科学学会学術集会講演集. 352 (2002)
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[Publications] 平松知子, 泉キヨ子, 加藤真由美他: "高齢者の転倒予測に対する入院時の看護師間の一致度"第7回日本老年看護学会学術集会抄録集. 100 (2002)