2003 Fiscal Year Annual Research Report
携帯電話を用いた電子メールネットワーク化による介護者のサポートシステムの有効性
Project/Area Number |
14572286
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 宮城大学, 看護学部, 教授 (60269636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 桃子 宮城大学, 看護学部, 助手 (80347195)
川浦 康至 横浜市立大学, 国際文化学部, 教授 (10214595)
西田 公昭 静岡県立大学, 看護学部, 助教授 (10237703)
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Keywords | 介護者 / 携帯電話 / 電子メール / 疲労感 / QOL / サポート |
Research Abstract |
本研究は,在宅要介護高齢者の介護者に対し,携帯電話の電子メール機能(以下携帯メールという)を用いて介護者相互のコミュニケーションを行うことにより,介護者の疲労感及びQOLへの影響を探ることを目的に行われた。対象は,在宅で療養している要介護者の女性介護者で,携帯電話の使用経験者も含む12人である。実験方法は,対象者を6人ずつ2つのメーリングリスト(1G&2G)に分け,それぞれ4週間の携帯メール送信実験を行った。前半2週間は自由なテーマで,後半はテーマを指定して行った。実験開始直前,15日目の中間日及び終了時を含めた3時点において,介護者の疲労感及びQOLの把握を行った。疲労感は蓄積的疲労徴候調査票(Cumulative Fatigue Symptoms Index : CFSI)で,QOLはWHO/QOL26で測定した。実験開始前に,研究補助員により介護者の技術・経験にあわせて携帯メールの訪問指導が行われた。 結果は以下のとおりである。各Gの携帯メール総送信件数は,1Gが252件(前半127:後半125),2Gは215件(前半118:後半97)で,それぞれの平均送信件数は42.0±15.8件及び36.0±24.0件であった。テーマ設定による携帯メール送信件数は2Gで有意(p<0.05)に低下した。介護者の携帯メール実験直前及び終了時のCFSI得点を比較したところ,抑うつは2.75±1.66が1.83±2.12へ,身体不調は2.00±1.28が1.25±1.21へと有意(p<O.05)に低下した。イライラの状態は低下の傾向が伺えた(p<0.1)。しかし,QOLについては,身体的領域,心理的領域,社会関係,環境の4領域,いずれも実験前後に変化は見られなかった。今回の4週間の実験結果から,携帯メールのネットワーク化は疲労感の低下に効果があることが示されたが,介護者のQOLを高める効果を確認することはできなかった。
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