2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマン・ケアリングを基盤とする「生きる力」を育む死の準備教育プログラムの開発
Project/Area Number |
14572309
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
野村 美香 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (80276659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 理江 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30352058)
藤田 佳子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30341241)
永井 眞由美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (10274060)
稲岡 文昭 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 学長・教授 (40151568)
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Keywords | 死の準備教育 / ヒューマン・ケアリング / 生きる力 / 終末期患者 / 在宅看護 / ホスピス |
Research Abstract |
本研究は,中高年を対象として,死と正面から向きあってたくましく「生きる力」を育むヒューマン・ケアリングを基盤とする死の準備教育プログラの開発を最終目的としている。研究の2年目にあたり,(1)死の準備教育に関する米国の実態把握,(2)緩和ケア病棟を中心とした「生きる力」と「育む力」の明確化の2点に主として取り組んだ。 1.米国における死の準備教育の実態については,マサチューセッツ州にあるセイラム州立大学看護学部を訪問し,看護教員による死の準備教育について情報を収集した。その結果,死の準備教育が重要な課題として認識されていたが,この大学としては取り組まれていないことがわかった。また,歴史的にみれば,キューブラー・ロス博士の「死ぬ瞬間」をはじめとする著述が及ぼした影響は大きく,生と死について考える機会は増えているとの認識であった。経済的な状況にもよるが,中高年層の人々は健康に対する関心は高いが,「老いること」「病むこと」「死ぬこと」について考えることを避ける傾向にあるとのことであった。米国において今後の問題となるのは,若年層の自殺や無軌道な生活態度の問題であり,こうした対象に向けて生命の尊厳を教育する必要があるとの示唆を得た。 2.緩和ケア病棟に入院する終末期患者の「生きる力」とは,自己の存在を失うという究極の喪失を認めたうえで希望を維持する力であり,この力を育むには,患者が望むだけでなく,患者から提示された望みに応える人々の存在が重要であることがわかった。また,生きる力を発揮できる患者の特徴として,感性豊かであること,人生を肯定的に受け止めること,多様な感情表現の手段をもつこと等があげられた。 以上2点の結果ならびに昨年度調査の結果を踏まえ,中高年を対象として,死と正面から向きあってたくましく「生きる力」を育むヒューマン・ケアリングを基盤とする死の準備教育プログラム試案の作成に取り掛かかり,実施に必要な機材について準備を整えた。今後は,完成した試案の実施に基づいて,プログラムの検討を進める予定である。
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