2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマン・ケアリングを基盤とする「生きる力」を育む死の準備教育プログラムの開発
Project/Area Number |
14572309
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
野村 美香 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教授 (80276659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 眞由美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教授 (10274060)
前田 理江 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30352058)
稲岡 文昭 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40151568)
要田 郁美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (50389128)
石井 智子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30389126)
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Keywords | 死の準備教育 / ヒューマン・ケアリング / 生きる力 / 終末期患者 / 在宅看護 / ホスピス |
Research Abstract |
本研究の最終年度にあたる今年度は,昨年度までの2年間で蓄積された研究成果に基づいて,ヒューマン・ケアリングを基盤とする「生きる力」を育む死の準備教育プログラムを構築した。具体的には,(1)デス・エデュケーションの実態,(2)終末期患者をケアする看護師の面接調査によってえられた「生きる力」と生きる力を「育む力」の構成要素の研究成果に基づいて,教育プログラム試案を作成し,このプログラムの対象となりうる壮年期成人,死を直視しつつ闘病を続けるがん患者,終末期医療に携わる医療者,終末期看護を専門とする看護系大学教員などに,作成した試案を実施しつつアドバイスを受け,プログラムの妥当性や実現性を検討した。 上記の人々との意見の交換を通して,「死」を語り合うことをタブー視する傾向が未だ社会に根強い現状を踏まえて,「健康教育」の一環として行う必要があることが示唆された。また,死に直面して発揮される「生きる力」には,一人ひとりが自分の意思や希望を明確にできること,その希望がかなうよう支え助け合う仲間の存在が重要であることが共通認識された。さらに,過去の人生を肯定的に捉える姿勢が必要とされるという,これまでの研究結果も支持され,「生きる力」を育む死の準備教育においては,壮年期の健康なときから,自己の人生を振り返り意味付けする機会をもち,死という最大の喪失を前にしても見失うことのない自分の希望を明確にし,自己表現する機会をもつことがプログラムの核として必要であるという結論に至った。 このような結果に基づき構築したプログラムは,ケアリングが生じる人間関係構築の基礎となる小集団のグループワークとした。健康教育の一環として位置づけ,(1)仲間作りの手段としての健康的な生活についての学習活動,(2)人生を意識化し肯定的に捉え,希望を明確にするための自分史の作成,(3)豊かな自己表現を養うための自分史の発表会をプログラムの内容に含めた。
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