2002 Fiscal Year Annual Research Report
教科「体育」における運動技能学習とマルチメディア活用の有効性に関する実践的研究
Project/Area Number |
14580022
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
直原 幹 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70187582)
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Keywords | マルチメディア / 小学生 / 学習効果 / 剣道 / 間合 / 対人間距離 / 距離認知 / 運動技能学習 |
Research Abstract |
本年度は、次年度以降の研究計画を円滑に遂行するため、対象となるスポーツ種目を「剣道」とし、その基礎的検討および今後のモデルとなるマルチメディア教材の立案・製作を行う上での準備を行った。研究実績の概要は以下の通りである。 研究実績の概要: 小学生年齢の剣道学習者26名(年齢10.58±1.36歳)を対象に、剣道における「一足一刀の間合」の理解を学習内容とした指導を約1時間、計7回実施した。マルチメディア教材は指導時間毎に活用した。マルチメディア教材は、学習者の画像情報をパソコン等で動画として加工し、文字情報や静止画情報と同時に学習者に提示が可能な内容で構成した。マルチメディア教材活用に伴う間合学習の効果については、対人間距離を依存変数とし、対人的な距離認知の面から検討した。 その結果、小学校高学年、低学年ともに練習参加回数の多かった児童グループの対人間距離の再現性は、練習期間前に比べて練習期間後は明らかに高く、自己の間合における距離的認知に学習効果が認められた。また、練習期間終了1ヶ月後に調査した学習内容に関する調査結果を基に、各児童の対人間距離の再現性を比較したところ、高学年、低学年ともに、練習期間中に指導された学習課題が記憶出来ていたグループの対人間距離の再現性は練習期間前に比べて練習期間後は明らかに高く、距離的認知に学習効果が認められた。これらのことは、小学生年齢の剣道学習者における「間合」指導の可能性とマルチメディア教材活用の有効性を示唆している。すなわち、剣道における自己の「間合」の理解や獲得は、従来はその指導法が確立されていなかったことから各学習者の経験的自助努力に委ねられてきたものの、本研究で実施したような間合の習得に焦点化した指導をマルチメディア教材を活用して行うならば、短期間でも対人間距離としての「間合」は学習が可能と考えられる。また、学習活動では、児童自らの学習意欲が技術向上に関係していることから、今後のマルチメディアの活用については、学習活動に対するメタ認知や内化を促進するような教材内容をさらに工夫することが必要と考える。
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