2003 Fiscal Year Annual Research Report
教科「体育」における運動技能学習とマルチメディア活用の有効性に関する実践的研究
Project/Area Number |
14580022
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
直原 幹 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70187582)
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Keywords | マルチメディア / 小学生 / 学習効果 / 剣道 / 間合 / 対人間距離 / 距離認知 / 運動技能学習 |
Research Abstract |
本年度は、マルチメディア教材を用いた画像の呈示方法や再生条件と学習者の運動表象の関係について検討した。 1.マルチメディア教材:野球のバットスイング動作を観察対象とし、動画による示範教材を作成した。教材の作成に際しては、2動画同時提示が可能な画像処理ソフト(OTL-8PX)を用いた。被験者には、成人の野球経験者10名(年齢21±0.89歳,経験年数9.8±3.28年)および野球未経験者10名(年齢22.4±1.35歳)計20名を用いた。 2.教材の呈示方法と再生条件:示範の動画を単画面で呈示する場合、示範動画と被験者の動画を同期させて並列呈示する2動画同時呈示の場合で行った。また、それぞれについて通常再生、スローモーション、コマ送り、被験者の求める線画惰報等を挿入して再生する(:任意作図)4つの再生条件で呈示した。 3.学習者における運動表象:運動表象に関わる空間的要素、時間的要素、力動的要素各2項目からなるイメージ形成に関する質問紙を作成した。各呈示方法・再生条件でパソコン上の教材を観察した後、各要素別の質問項目に対し「イメージできた」から「イメージできなかった」の5段階で評定を求め、2要因分散分析を行った。 4.結果:(1)単画面呈示による示範画像を観察した際には、野球経験の有無に関わらず、バットスイング動作の大きさや位置関係などの空間的要素を観察する上では、通常再生による画像呈示は、他の再生方法に比べて最も評価が低く(P<.05)、リズムやタイミング、あるいはスピードや流れなどの時間的要素を観察する上では、通常再生はコマ送りよりも評価が高かった(P<.05)。しかし、動作中の筋の緊張や弛緩などの力動的要素を観察する上では、各再生条件における評価に差は認められなかった。また、(2)2画面同時呈示によって示範と自分のスイング動作を比較した際の評価においても、野球経験の有無に関わらず、空間的要素の違いの観察は通常再生による画像呈示が他の再生条件に比べて最も評価が低く(P<.05)、時間的要素の違いを把握する場合も通常再生はスローや任意作図よりも評価が低い(P<.05)という結果であった。さらに、力動的要素の違いを観察する場合も、通常再生による画像呈示が他の再生条件に比べて最も評価が低かった(P<.05)。今後は、異なる情報や強調点などの呈示が運動観察・学習にどのように影響するかを検討することが課題である。
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