2004 Fiscal Year Annual Research Report
教科「体育」における運動技能学習とマルチメディア活用の有効性に関する実践的研究
Project/Area Number |
14580022
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
直原 幹 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70187582)
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Keywords | マルチメディア / バスケットボール / ドリブルターン / 運動技能学習 / 運動表象 |
Research Abstract |
本年度は、バスケットボールのクロスオーバードリブルにおけるボールの切り換え局面を観察対象とし、運動観察後に技術練習した際の習熟の程度および観察された運動表象の内容について実際の示範動作の観察および示範動作と各被験者の動作をパソコン画面上に同時呈示できるマルチメディア教材による画像観察の2条件から検討した。被験者は、大学生男子バスケットボール部員10名(経験年数7.0±3.2歳)であった。 その結果、(1)各被験者の観察条件に対する主観的評価では、運動質の違いの看取り(F(1/9)=5.44,p<.05)や練習課題の持ち方(F(1/9)=7.23,p<.05)の面においてマルチメディア教材による画像観察条件の評価が高く、練習後に上達を感じたと全員が回答した。一方、(2)実際に知覚された運動表象では、観察条件に関わらず空間的要素(運動の大きさや身体の状態の違い)が時間的要素(運動の速さ・リズム・タイミング)や力動的要素(力の大きさや筋の緊張・弛緩)よりも多く知覚されたのみであった(MSe=2.7204,p<.05)。さらに、(3)ドリブルターン技能の実際の習熟について、事前テスト、示範動作の観察後およびマルチメディア教材による画像観察後における各試技の技能評価得点を検討したところ、運動観察の効果は認められ(F(2/18)=16.87,p<.01)、事前テストの評価得点に比べて示範動作の観察後およびマルチメディア教材による画像観察後の評価得点は明らかに向上していた(MSe=15・3,p<.05)。しかし、示範動作の観察後とマルチメデイア教材による画像観察後における技能の評価得点の差は有意ではなかった。 これらのことから、本研究で取り上げたクロスオーバードリブルのボールの切り換え局面のような看取り学習が困難な課題(身体の多方向、並列処理)では、視覚媒体を用いた運動観察の評価が観察者の意識レベルで高い場合でも、期待する運動表象の形成や行動化レベルでの効果とするためには画像の呈示方法をさらに工夫することが必要と考える。
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Research Products
(3 results)