Research Abstract |
本研究では,随意運動におけるスキルの重要な要素である抑制系による制御がどのように獲得されていくのかを明らかにすることを主目的とした.昨年度は,一側単独肢におけるrelaxationについて,上腕二頭筋及び三頭筋,指の屈曲伸展に関与する前腕指屈筋群及び指伸筋群の主働筋・拮抗筋を被検筋としてrelaxation時の反応特性を分析し,その学習過程を検討したが,上腕や前腕では,ほとんどの被検者がすぐにrelaxationをマスターしたので,本年度は脚部に対象を移し,膝関節伸展筋である大腿四頭筋(大腿直筋を主として)と大腿二頭筋(拮抗筋),および腓腹筋(足部底屈筋)と前脛骨筋(足部背側屈筋)を被検筋として実験が可能なように,測定装置等を作り替え,実験の設定を大幅変更した.しかし,下肢筋の場合は重力の影響を受けやすいので実験時の姿勢設定が難しく,大腿部と下腿部で実験時の姿勢を変えざるを得なかった.方法上の問題が多く,十分な解析ができていないが,下肢筋の方が上肢に比べてrelaxationが下手であり,これは筋-神経支配比の違いによるものはではないかと推測された. 《装置》表面筋電位測定装置(平成14年度導入備品),ストレイン・アンプ(2台),オシロスコープ,タイムプログラマー,フォース・トランスデューサ(2台),ゴニオメーター(2台)及び専用アンプ,聴覚刺激装置,パーソナル・コンピュータ一式,DATレコーダー,動作課題専用の身体固定台を自主製作. 《測定項目》当該筋及びその拮抗筋からの双極誘導による表面筋電図,発揮筋力,関節角度 《記録及び解析》アナログデータはすべてDATレコーダーに記録し,サンプリングレート1KHzでA/D変換してパーソナル・コンピュータに取り込み,波形解析ソフト(BIMUTAS II)を用いてデータの解析を行った.また,統計処理についてはSPSS11.0を用いた. 《被検者》本実験に参加する被検者には,本研究の目的・方法・意義などについて十分な説明を行い,実験に参加することを書面にて承諾を得た.
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