2003 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ応援文化の研究-プロ野球の私設応援団と後援会を対象にして-
Project/Area Number |
14580033
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
高橋 豪仁 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (40206834)
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Keywords | スポーツ / 応援 / 私設応援団 / 後援会 / プロ野球 |
Research Abstract |
1.私設応援団の下位文化:全国広島東洋カープ私設応援団連盟に所属する私設応援団「神戸中央会」の参与観察を実施するとともに、甲子園球場、大阪ドーム、佐賀県立球場、尾道球場、横浜球場での応援行動や6月と9月に開催された全国私設応援団連盟の会議の様子を観察・調査した。その結果、応援団内や応援団間の軋轢、旗振りやリードに関する観察から、私設応援団に独自な行動様式や価値基準が存在し、そこに官僚制やヤクザ的な擬似家制度が巧にドメスティケイトされて、私設応援団の下位文化が形成されていることが明らかになった。 2.「近畿カープ後援会」と「近畿広島県人会」の関連性:昭和30年代の高度経済成長に伴い、広島県の中学校・高等学校を卒業した青少年が京阪神に多く移住し、昭和39年に県人会青年部として活動を始めた。こうした青年たちが中心になり、昭和50年のカープの初優勝を機に近畿カープ後援会が結成され、事務局は近畿広島県人会内部に置かれた。近畿カープ後援会の発足は、戦後の高度経済成長期において、広島から近畿圏への都市移住を背景に、カープを故郷のシンボルとした共同性に基づくものである。 本年度の研究結果の一部は、2003年6月20日に、the 2nd World Congress of Sociology of Sport(ケルン)において、"Research into Private Fan Clubs in Japanese Professional Baseball"として口頭発表を行い、2004年3月27日に日本スポーツ社会学会(北海道教育大学)において、「故郷の再生:近畿カープ後援会と近畿広島県人会を対象にして」として報告する。また、研究成果の一部は、2003年7月26日付け朝日新聞夕刊7頁文化欄(大阪)と2003年8月2日付け朝日新聞夕刊12頁文化欄(東京)に掲載された。
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Research Products
(1 results)