ラット骨格筋の形態や機能変化に伴うストレス蛋白質の発現応答

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14580043
• Research Institution: Kumamoto University
• Principal Investigator: 大石 康晴 熊本大学, 教育学部, 助教授 (10203704)
• Keywords: 熱ショックタンパク質 / HSP72 / 熱ストレス / 後肢懸垂 / ミオシン重鎖 / 筋繊維タイプ / ヒラメ筋 / ラット

Research Abstract

1.ラット骨格筋の熱ショックタンパク質(HSP)72の発現を免疫組織化学的に分析した結果、胎児期においてすでにヒラメ筋、足底筋および腓腹筋深層部に発現が認められ、これはslow type I線維特異的な発現であることが明らかとなった。また、その発現量は生後8週齢までの発育にともなうヒラメ筋type I線維の割合の増加と比例して、漸増することが明らかとなった(J.Appl.Physiol.2003)。
2.成熟ラット下肢骨格筋温を1時間42℃まで上昇させ、その後回復60時間までの熱ショックタンパク質の発現量変化を分析した結果、腓腹筋深層部、表層部共に、HSP60は回復2時間後のみに有意な増加が認められた。一方、HSP72は、表層部と深層部では著しい違いがみられ、これは各部位の収縮あるいは代謝特性の違いに由来する可能性が示唆された(Muscle & Nerve,2003)。
3.長期間(9週間)のラット後肢懸垂により、著しく萎縮したヒラメ筋において、HSP72発現量はコントロール群の40%まで低下した。一方、その後の回復2,4週目ではそれぞれコントロール群の1.6倍、1.7倍に増加し、回復8週目ではコントロール群と同じレベルであった。このような回復期のHSP72の一時的な増加は、筋(線維)サイズや線維タイプの回復変化と関連する可能性が示唆された(Jpn.J.Physiol.2003)。

Research Products

• [Publications] Ogata T, Oishi Y, et al.: "Endogenous expression and developmental changes of HSP72 in rat skeletal muscles"J.Applied Physiology. 95. 1279-1286 (2003)
• [Publications] Oishi Y, et al.: "Differential responses of HSPs to heat stress in slow and fast regions of rat gastrocnemius muscle"Muscle & Nerve. 28. 587-594 (2003)
• [Publications] Oishi Y, et al.: "Upregulation of HSP72 in reloading rat soleus muscle after prolonged hindlimb unloading"Jpn.J.Physiology. 53. 281-286 (2003)