2003 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ西海岸におけるアジア系エスニック都市空間の構造と機能
Project/Area Number |
14580077
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
杉浦 直 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50004495)
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Keywords | エスニック都市空間 / エスニシティ / ジャパンタウン / チャイナタウン / ベトナム・タウン / シアトル / インターナショナル地区 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
平成15年度においては、現地調査として、シアトルの複合アジア系エスニック都市空間「インターナショナル地区」の観察・聴取及び関係資料の収集を行ない、前年度まで収集した資料と総合して、同地区がビジネス・タウン(ないしツーリスト・タウン)化したチャイナタウン・残滓期のジャパンタウン、萌芽期から凝集型のエスニック・タウンに発展しつつあるベトナム・タウンなど、発展段階の異なるエスニック・タウンが併存・分化している状況を明らかにした。また、地区西南端には、エスニック・コミュニティにベースを置かない一般市場型の再開発によるオフィス空間が顕著な姿を現わしはじめている現象も浮かびあがった。 また、この「インターナショナル地区」の基礎をなす第二次世界大戦前のシアトル・チャイナタウンについては、平成14年度に引き続いて中国系姓を基礎に市民住所録から中国系の営業施設・コミュニティ施設を抽出する作業を継続し、19世紀末から20世紀初頭にかけての初期チャイナタウンの位置と構成をより詳細に明らかにしたほか、今日の位置のチャイナタウンへの立地移動過程に関しても新しい知見を得た。 なお、平成14年度に調査を開始したサンフランシスコ・ジャパンタウンの再開発過程に関しては、そこにおける活動主体の行動・言説に焦点をあてて分析を進め、6月の琉球大学における日本移民学会において報告を行ない、討議を得た。また、その際沖縄出移民がアメリカ西海岸の日本町形成に果たした役割について予備的に考察するための資料収集を試みた。
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