2002 Fiscal Year Annual Research Report
国家表象としての近世アトラスの比較地図史的研究とアトラスのデジタルベース化
Project/Area Number |
14580088
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長谷川 孝治 神戸大学, 文学部, 教授 (60124872)
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Keywords | 近世アトラス / 国家表象 / サクストン / ノルデンショルド / レレウェル / クルーゼンシュテルン / 大黒屋光太夫 / 日本分形図 |
Research Abstract |
初年度をアトラスの政治性と社会性を究明するための準備段階と位置づけ,基盤的作業を実施した。すなわち国家単位の近世アトラスのモデルとして,イギリスのサクストン『アトラス』とスピード『大英帝国の舞台』を選定し,両者の諸版を閲覧・調査し,複写ないしスライド等で資料を収集した。またヨーロッパ諸国が所蔵するアトラス・コレクションの現地調査を実施し、(1)フィンランド・ヘルシンキ大学図書館のノルデンショルド・コレクションでは、ラフレリ、メルカトル等のアトラス、(2)エストニア・国立公文書館ではクルーゼンシュテルン地図集、(3)リトアニア・ヴィリニス大学図書館のレレウェル・コレクションでは東欧アトラスなどの資料を収集した。とりわけクルーゼンシュテルン地図集では、大黒屋光太夫作成日本図を発見するという成果を挙げ、日本地図史研究に大きく貢献することになった。 同時に日本においては,すでに復刻版が刊行されている『人国記』や『国郡全図』などを収集したほか,国立国会図書館が所蔵する『日本分形図』などの分国地図帖の諸版および北海道教育大学図書館が所蔵する北方関係地図集を閲覧・調査し,それぞれの収録図を撮影してデータベース化の基礎を構築した。 こうした成果は、韓国地理研究所の特別招請講演で「国家の展望-近世における国家地図帳の欧・日・韓比較-」と題して公表したほか、光太夫図に関しては日本地理学会春季学術大会において「漂流民の国土描写-新発見の大黒屋光太夫日本図を巡って-」として報告する。
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