2003 Fiscal Year Annual Research Report
二型の性決定機構をもつツチガエルの特性を利用した環境ホルモン作用評価試験法の開発
Project/Area Number |
14580125
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Research Institution | Hiroshima prefectural Women's University |
Principal Investigator |
市川 洋子 県立広島女子大学, 生活科学部, 助手 (20084163)
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Keywords | 内分泌撹乱化学物質 / 両生類 / in vivo / 生殖腺の分化 / カルバリル |
Research Abstract |
ツチガエルはXY/XXとZZ/ZW型の二つの性決定機構をもち、地方集団によってホルモン依存性の性分化をすることを利用して化学物質の内分泌撹乱作用を検出するin vivo評価試験法をすでに確立している*。本研究は、曝露材料となる全雄個体の遺伝的組成を従来法のXZ(♂)からZZ(♂)に変更することで、さらに高精度の試験法に改良することを目的とした。 曝露材料のZZ(♂)は,エストラジオール17β(E2)で性転換させたZZ(♀)とZZ(♂)の間で交配したF_1を利用した。まず、このF_1ZZ(♂)が従来法のXZ(♂)と同様に臨界期の外因性エストロゲンに感受性があるか否かを知るため、1〜10^(-3)μM(4段階の濃度)でE2処理を行い、担体対照群には0.01%エタノール処理をしてそれぞれ40日令の生殖腺組織像をXZのものと比較した。その結果、担体対照群はすべて精巣を形成したが、1μM E2処理群ではXZとZZの全個体が卵巣を形成して雌に性転換した。さらに低濃度の0.1と0.01μM E2処理群では各々78.8%と38.9%が卵巣または雌雄同体を形成し、従来法のXZ(63.4%,17.9%)より高率で雌化を誘導しており、外因性E2に対してZZ(♂)がXZ(♂)より高感度に影響されることを示唆した。次に、ZZ(♂)が他の化学物質にも感受性を有するかを知るため、農薬の一種であるカルバリルで曝露処理を行って昨年度のXZ従来法の結果と比較した。薬剤処理方法と期間は同様であるが、処理濃度はXZでは1〜10^<-2>μMの3段階、ZZは1〜10^<-4>μMの5段階で実施した。40日令処理個体はすべて生殖腺組織像を調べ、卵巣化の程度に応じて5段階に分類後、統計的にエストロゲン作用の有無を判定した。その結果、XZの従来法では処理した濃度においてエストロゲン作用は検出できなかったのに対し、ZZでは1,0.1,0.01μM処理濃度で5.9〜8.8%の卵巣化が生じてエストロゲン作用が検出された。このように、新試験法では、曝露材料のZZ(♂)が外因性E2やカルバリルに対してXZ(♂)より高い感受性を示し、従来法より高感度な試験法になりうる可能性が得られた。今後、さらに他の試験法ですでにエストロゲン性が確認された化学物質による曝露処理を試み、その結果を比較して本試験法の精度を検討する。* Ohtani H.et al.(2000) Environ Health Perspec.108,(12):1189-1193
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