2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の日常生活における身体機能維持活動としての台所作業と作業空間に関する研究
Project/Area Number |
14580129
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
竹原 広実 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 助教授 (20298706)
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Keywords | 高齢者 / 活動量 / 日常生活 |
Research Abstract |
充実した高齢社会を目指すために最も基本的な事柄として、高齢者が現有する身体機能をできるだけ長く維持し続け、健やかに生活するための生活の仕方や生活環境のあり方を考えることが重要であり、そのためには高齢者の身体特性と活動能力を知る必要がある。 そこで今年度は、高齢者の極めて日常的な生活を取り上げ、各種生活行動にどの程度エネルギーを要しているのかなどを実態測定を行って、日常活動量を左右する要因を抽出することを目的として行われた。また高齢者の特徴をより明確に把握するために中年者と比較して検討を試みた。 研究1では、被験者に活動量記録計を連続48時間装着させ、活動量を計測した。被験者は高齢者20名、中年者19名を対象とした。 まず、生活の規則性について、生活行動の時刻面と、生活行動の内容面のいずれにおいても高齢者は規則的な生活を送っており、特に、起床、家事、食事、入浴、就寝などの基本的生活行動では顕著である。対して中年者は日によって生活行動やそれが行われる時刻が異なるなどの傾向がみられた。また、生活行動の中で「睡眠」のとり方では高齢者は「昼寝」を、中年者は「仮眠(夕食後などの遅い時間帯での睡眠)」をとる者がいるなど夜睡眠以外の睡眠でやや違いたみられたが、合計睡眠時間には差はみられない。 次に、生活行動の活動量について検討を行ったところ、48時間の総活動量については、若くても活動量が小さい者や、高齢であっても活動量が大きいものがいるなどし、年齢との相関はみられない。しかしながら70才以降の被験者については他の年齢層と比較して活動量は小さい。 さらにどのような要因が総活動量に影響を及ぼしているかについて検討を行ったところ、中年者では家族人数が多いと一様に総活動量が大きくなる傾向が窺えた。しかし高齢者では家族人数が多い者については総活動量が大きい者と、小さい者の2つに分かれた。これは対象者が家事担当者であるかどうかといった事柄が関与しているといえる。総活動量と家事活動量との相関係数は高齢者群では0.4とやや相関がみられ、中でも70才以上の対象者では0.65と高く、家事活動量は総活動量に影響を及ぼしているといえる。
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