2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の日常生活における身体機能維持活動としての台所作業と作業空間に関する研究
Project/Area Number |
14580129
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
竹原 広実 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 助教授 (20298706)
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Keywords | 高齢者 / 台所 / 姿勢分析 / 足底圧分布 / 重心移動 |
Research Abstract |
家事作業の中でも最も日常生活活動量に影響を及ぼす台所作業について、台所作業時の動作や身体負荷のかかり方などを調査することにより高齢者の特徴把握を試みた。その際に高齢者の特徴を明確にするために中年者と若年者についても同様に調査を行った。対象者は三世代で同居している高齢者、中年者、若年者の7名である。各自宅の台所で通常の台所作業を行ってもらい、その間の心拍数、足底圧力などを測定し、作業の様子をビデオを用いて撮影記録した。 得られた結果は以下の通りである。 1)作業前に対する作業後の心拍上昇率について、高齢者は半数以上が30-60%と高い上昇率を示し中年者は35%までに留まっており、若年者はほとんど上昇していない。また血圧の上昇についても同様の結果が得られ、高齢者は台所作業に長く携わることそのものが身体に負担を与えているといえる。 2)高齢者は作業中に移動する距離は短く動きも遅い。また歩行は少なく重心移動を中心として作業の仕方が窺えた。 3)重心移動回数が多くなるにつれて心拍が上昇し、下部収納からの物の取り出しなど瞬間的動作時に大きく心拍が上昇する傾向がみられた。 4)ビデオ映像より作業時の姿勢を8種に分類した。高齢者にみられず中年者に多くみられた姿勢は膝屈伸(しゃがみこみ)姿勢であり、高齢者に特徴的にみられた姿勢は膝を伸ばした深い前屈み姿勢、伸長姿勢であった。またそれぞれの姿勢をとる際に自立して姿勢を保持する「支えなし姿勢」のではなく、何かに掴まって姿勢を保持する「支えあり姿勢」様子が多くみられた。 5)高齢者と中年者ともにみられた同じ姿勢時の足底圧分布を検討したところ、高齢者は重心移動軌跡が前後左右と大きく不安定な状態である。一方中年者では重心の動揺は殆どみられず安定している。 6)足底圧分布より、同じ姿勢であっても「支えあり」は「支えなし」と比較して重心動揺軌跡が小さくかなり安定した状態になっており、しっかりと支えに体重を預けている様子が窺える。
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