2003 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸系高分子/過酸化水素混合系による羊毛繊維の防縮加工
Project/Area Number |
14580134
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Research Institution | Kyoto Women's Junior College |
Principal Investigator |
上甲 恭平 京都女子大学短期大学部, 生活科学科, 教授 (20310659)
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Keywords | 羊毛繊維 / フェルト収縮 / 防縮加工 / クチクル細胞 / 細胞膜複合体 / 酸化還元 / 過酸化水素 / カルボン酸系高分子 |
Research Abstract |
昨年に引き続いて,クチクルエッジおよびクチクル間細胞膜複合体の改質を目的として,カルボン酸系高分子/過酸化水素(高分子過酸化物)処理効果について検討した。併せて,羊毛繊維の漂白効果についても検討した。 用いたカルボン酸系高分子は市販の無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合物(MAMECと略す)の加水分解物を使用した。酸化処理溶液としては,所定濃度のMAMEC水溶液に,30%過酸化水素を加え硫酸酸性として後,室温で24時間撹拌することにより調製した。 防縮加工は,羊毛トップを容器にとり,調整した酸化処理水溶液を一定浴比となるように添加した後,50℃で1時間静置処理し,処理後十分に水洗,乾燥させることによって行った。フェルトボール試験は,前年と同様にシェークフラスコ法により行った。 フェルトボール試験の結果,水処理のみの場合,長径/短径値が25/24(mm)である丸い小さなフェルトボールとなったのに対し,MAMEC5wt%濃度で2ml以上の過酸化水素を加えた場合,61/29となりかなりの防縮効果が得られることがわかった。さらに,この処理による繊維試料の白度や損傷度についても調べた結果,まず,白度は,MAMEC水溶液に添加する過酸化水素濃度が増加するにしたがって向上することがわかった。一方,損傷度の目安として選んだアルカリ溶解度では,過酸化水素の濃度に比例せず,ある添加量域(100g/l〜200g/l)で一定となり損傷が抑えられることが見出された。 以上のように,予備実験で行った金属触媒を用いた防縮処理によらず,カルボン酸系高分子と過酸化水素との組み合わせのみにより損傷度を抑えた防縮加工が可能であることが明らかになった。
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