2003 Fiscal Year Annual Research Report
米に含まれる食物繊維の生理効果と調理過程における挙動
Project/Area Number |
14580149
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Research Institution | Gifu Wmen's University |
Principal Investigator |
小川 宣子 岐阜女子大学, 家政学部, 教授 (30139901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 なつみ 岐阜女子大学, 家政学部, 助教授 (00257528)
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Keywords | 米 / 飯 / ペクチン / β-グルカン / ヘミセルロース / 腸内発酵性 / 胚乳細胞 / 凍結切片 |
Research Abstract |
本研究は米に含まれる食物繊維の生理効果を生かした食べ方を提案するため、米に含まれるセルロースやペクチンの生理効果ならびに調理過程における挙動を明らかにすることを目的とした。 1.米に含まれる食物繊維の生理効果 水溶性ならびに不溶性ペクチン、ヘミセルロースの構成成分であるβ-グルカンを米より抽出し、これらの腸内発酵性について検討した。 各食物繊維を基質として、ブタ盲腸内容物由来の混合微生物を利用したバッチ培養を行い、培養液中の全糖量の変化から、各食物繊維の腸内発酵性を調べた。その結果、培養24時間後における全糖量は、水溶性ペクチンを基質とした場合は培養前の10%以下であったが、不溶性ペクチン、β-グルカンを基質とした場合はともに約40%の糖が分解されなかった。これより、米に含まれる水溶性ペクチンは他の食物繊維よりも腸内細菌による発酵を受けやすく、その代謝産物による生理効果が期待される食物繊維であることが示された。 2.米に含まれる食物繊維の調理過程における挙動 飯粒の胚乳細胞壁に存在する食物繊維の分布状態を調べ、炊飯に伴う食物繊維の挙動を明らかにするため、飯粒の切片作成方法ならびに胚乳細胞壁に存在するペクチンとβ-グルカンの染色方法について検討した。 切片作成方法については、試料の凍結方法、固定方法などについて検討し、凍結切片の作成条件を確立することができた。ペクチンについてはルテニウムレッド、β-グルカンはカルコフルオールにより染色し、分布を確認することができた。これらの手法は、調理過程における食物繊維の挙動を明らかにするだけでなく、調理に伴う胚乳細胞の形状の変化を明らかにし、米の食味を評価する新たな指標となりうる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 市川朝子, 小川宣子, 神戸恵, 杉山静代, 下村道子: "無洗もち米の調理特性-貯蔵期間による影響-"日本調理科学会誌. 第36巻第2号. 123-129 (2003)
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[Publications] 高橋徹, 山中なつみ, 坂田隆, 小川宣子: "固形粒子の摂取がラット消化管内容物の粘度や消化管の組織重量に与える影響"日本栄養・食糧学会誌. 第56巻第4号. 199-205 (2003)
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[Publications] 大場君枝, 稲垣明子, 山中なつみ, 小川宣子: "消化管組織における構造変化の評価"岐阜女子大学紀要. 第33号. 99-105 (2004)
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[Publications] 小川宣子, 山中なつみ, 長屋郁子: "米および飯の性状に及ぼす加水液中のカルシウムの影響(第2報)"日本家政学会第55回大会研究発表要旨集. 136-136 (2003)
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[Publications] 山中なつみ, 稲垣明子, 坂田隆, 小川宣子: "消化管内容物の物理的性質が消化管の形態と機能に及ぼす影響(II)"第49回日本家政学会中部支部大会研究発表要旨. 5-5 (2003)
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[Publications] 稲壇明子, 山中なつみ, 坂田隆, 小川宣子: "無機イオンの存在が飯のテクスチャーに与える影響"第51回レオロジー討論会講演要旨集. 335-336 (2003)
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[Publications] 小川宣子 他 (共著): "管理栄養士養成シリーズ「調理学」"化学同人. 182 (2004)